ホーム開幕戦で「すべてが僕にエナジーをくれました」
10月7日、千葉ジェッツは今シーズン初のホームゲームで京都ハンナリーズ相手に常にリードを保つ危なげない試合運びで76-63と快勝。開幕からの連勝を3に伸ばしている。
この試合、チームトップとなる20得点を挙げたのは、昨シーズンまでシーホース三河でプレーしたギャビン・エドワーズだ。富樫勇樹が「彼はなんでもできます。走れるし、ジェンプシュートもうまい、3ポイントシュートもマークが甘くなれば打てます。また、3ポイントの位置からのドライブも強力です。後半、チームの点数が伸びない時に取ってくれました」と評するように、206cm110kgの恵まれたサイズの持ち主でありながら、千葉の目指す高速バスケットボールに難なく対応できる機動力を備える。そして高さをいかしたゴール下だけでなく、非凡な外角シュート力もあるオールラウンダーだ。また、守備面でも高さと跳躍力を生かしたリーグ随一のショットブロッカーであり、攻守において千葉の新たな中心選手となっている。
「ファンの皆さんの声援が大きく、素晴らしい環境でした。選手紹介の派手な演出はとてもクールで、すべてが僕にエナジーをくれました。最後に少し疲れが出てミスもあったけど、チームの勝利に貢献できたことを誇りに思う。ただ、改善しないといけないところはまだまだ多くあるけどね」。レギュラーシーズンでは初のホームゲームをエドワーズはこのように振り返る。
そして、勝因については「我慢できたこと」を第一に挙げる。「ハードな良いディフェンスができた。そして、オフェンスでも焦らずにボールを回して良いシュートセレクションができたと思う。試合終盤も、リードをしっかり守ることができた。ディフェンスが第一で、オフェンスは我慢することが大事なんだ」
「チームのスタイルに自分から適応していくだけ」
また、この試合、エドワーズは京都の貴重なオプションとなっている150kgの巨漢ジョシュア・スミスをよく抑えていたが、これは古巣の三河で同じタイプのアイザック・バッツと日頃の練習でマッチアップしていたことが助けになっていた。「アイザックと一緒にプレーしていたことで、彼のように大きな選手に対する経験を積んでいた。アイザックはスミスほど重くはないけど、少なくとも似たタイプの選手だからね。あそこまで重い相手に対して、自分ができることは多くないけど、ベストを尽くして良い仕事ができた。ただ、僕にとって間違いなくチャレンジだったよ」
ちなみにエドワーズは全米屈指の名門コネチカット大出身であり、昨シーズンの千葉でゴール下の番人を担っていたヒルトン・アームストロングは大学の先輩にあたる。「(琉球に移籍したアームストロングとは、同じ国際大会に出場していた)マカオで少し話した。コネチカット大出身ということで、つながりは強いよ。(横浜に加入した)ハシーム・サビートも同じだし、彼とも近いうちに話すつもりだ」と語る。
そして日本でプレーする外国籍選手で、出身選手が多い大学といえばゴンザガ大が有名だが、その点について質問すると「これからはゴンザガではなくコネチカットの時代になるよ」と笑いながら答えてくれた。
昨シーズン、チームの得点源となっていたタイラー・ストーンと袂を分かった千葉にとって、エドワーズはストーンに代わるエース格として期待を寄せられる存在である。しかし、エドワーズ本人は、チーム第一の姿勢を常に強調している。
「時に自分がファーストオプションになることはあるけど、エースという意識はないよ。このチームはみんな素晴らしい選手で、みんな得点できる。今日もいくつか悪いシュートセレクションや、ターンオーバーが何個はあった。もっとパスをするべきだったと思うよ。僕は自分のスタイルを押し付けることはない。チームのスタイルに自分から適応していくだけだ」
この謙虚なフィニッシャーが周囲とのケミストリーをさらに深めていくことで、千葉の高速バスケットボールはどのチームにとっても脅威の存在となっていく。そしてエドワーズ自身も選手としてまた一つ上のレベルへとステップアップできるはずだ。