田渡凌

川崎との差「僕たちは40分間戦いきれていない」

『神奈川ダービー』はまたしても川崎ブレイブサンダースの完勝に終わった。「出だしはエナジーがあってすごく戦えたと思うけど、2クォーターは38点取られて、そこで試合が決まったようなものでした」と敗戦を振り返ったのは横浜の司令塔、田渡凌だ。

24分の出場で8得点4アシスト2スティール。最低限の仕事は果たしたように思えるが、これだけの負けを喫した後では満足はどこにもない。最大の敗因はディフェンス。川崎の3ポイントシュート攻勢は、相手のシュートタッチが良かったこともあるが、横浜のディフェンスが機能せずにワイドオープンの状況を何度も作られた結果だ。

「一つひとつのスクリーンのセット、スペーシングだったり、相当な数の3ポイントシュートを決められました。そこでオープンを作らせてしまった。相手の遂行力の高さがすごかった印象です。オフェンスもディフェンスも遂行力の部分で、スクリーンもコミュニケーションが取れていなかったし、ガード陣もオーバーしないといけないところでアンダーしてしまったり、ズレを作らせてシュートを打たせてしまった。誰が悪いってわけではなく、みんなが同じルールを守ってやれていなかったのが、この結果に繋がりました」

横浜ビー・コルセアーズはすでに川崎に3敗。新体制でスタートした今シーズン、タフに戦えるチームになりつつあるのは間違いないが、リーグで最も調子の良い川崎を相手に、力の差を突き付けられた。「最初の試合は12点差、次が24点差で負けて、今回もこれだけ負けて。川崎さんは層が厚いイメージが今シーズンは特にあります。どの選手もエナジーを出して、オフェンスもディフェンスも高い遂行力を40分間通してやってきます。僕たちはそれに40分間戦いきれていない。フィジカルもメンタルもつけていかないと、レベルが一つ上の川崎さんとは戦えない」

田渡凌

「また川崎さんとやった時に成長を見せたい」

川崎を相手に自分たちの足りない部分を痛感させられる大敗を喫した直後であっても、田渡は相手の強さを素直に受け入れるとともに、勝利をあきらめない意思を示した。「島根とか富山にアップセットされているチームでもあります。残り3試合あるので、絶対に取るという意気込みで試合に臨みます」

川崎との差をどう埋めるか、との質問に対し、田渡は「今日に限っては、川崎さんの良いところがいっぱい出て、僕たちの悪いところが出た試合で、一概にこれとは言えない」と語る。

「僕たちが40分間を通してスカウティングでやっていることをやりきること。僕や生原(秀将)がもっと良いオフェンスを組み立てていけば、決して勝てない相手だとは思いません。技術云々の問題ではなく、そういう少しの何かを変えていかないといけない。相手の良いところを出させずに僕たちの良いところを出す。すごくシンプルなことだけど、それができれば戦えます」

今シーズンはタフな戦いができるようになったとはいえ、通算成績は7勝11敗と負け越しているし、優勝候補と呼ばれるクラブには勝っていない。このままチームが成長し、勝率5割超えとチャンピオンシップ進出を実現するには、上位チームを相手にも結果を出すことが重要だ。

「今シーズンはまだこういう試合がなかったので、一つ教訓ではないですけど。ものすごく悔しいんですけど、これで下を向いてはいられません。土日もアルバルクさんと試合なので。ここから学ばないと昨シーズンと一緒になってしまいますし、明日と明後日の練習がすごく大事になってくると思います。今回はレベルの違いを見せられたかもしれないけど、また川崎さんとやった時にどれだけ成長できたかを見せたい」

戦う気持ちを持っている限り、チャンスは何度でも訪れる。明日からはアルバルク東京と、来週には千葉ジェッツとの対戦が控えている。田渡には一戦必勝の意気込みを示してチームを引っ張る姿を見せてもらいたい。