「戦術どうこうよりも一人ひとりの守る気持ち」
琉球ゴールデンキングスにとって、リーグ中断明けの川崎ブレイブサンダース戦は2連敗という結果に加え、2試合続けて90失点以上とチームの基本であるディフェンスが崩壊したことで、内容的にも厳しいものとなってしまった。
7日の第1戦は87−90と後半に巻き返して接戦に持ち込んだが、第2戦は序盤から2桁リードを許すと見せ場を作れないまま75-98と大敗。今シーズン最多失点かつ最多得点差での敗戦と、まさにシーズンワーストの内容だった。
この結果を踏まえ、岸本隆一は今回の連戦をこう総括する。「チームとしてやるべき課題がたくさんあると感じた2試合になりました。まずは基本のマークマンをしっかり守る。ピック&ロールからイージーバスケットをやられただけでなく、自分たちの油断から点を取られたところも多かったです。戦術どうこうよりも一人ひとりの守る気持ちで、もっと危機感を持ってやれる部分はありました」
この2連戦は佐々宜央ヘッドコーチが体調不良でベンチに入らなかった。「ディフェンスを強調して戦うことを佐々さんはずっと言っています。自分の中でもディフェンスのエナジーを落とさないとことは意識して2日間、臨みました」と、岸本も指揮官が何よりも強調するハードワークにこだわりを持って挑んでいた。
しかし、激しくプレッシャーをかける前がかりの意識が強すぎた結果、マッチアップした川崎の篠山竜青にうまく出し抜かれてしまったと反省する。「篠山選手は自分よりも一枚も二枚も上手でした。そこは駆け引きのところで、僕は全部と言っていいほど裏をかかれてしまった。賢さが足りなかったとすごく感じています」
実際、篠山はこの2試合で計フィールドゴール13本中12本成功とほぼミスがなかった。これはシュートの多くがレイアップだったからであり、それは岸本が後悔するように、簡単に抜かれてゴール下への侵入を許してしまったからだ。
「次はまた、違った自分でチャレンジする」
岸本はオフェンスでは初戦が20得点、第2戦が11得点と連続で2桁得点をマークしたが、「目的としてはチームをうまく連動させたい。自分の得点からチームとしてオフェンスをうまく回していきたいところでしたが、どこか単発な部分があったと感じます」と消化不良な思いが強い。
「何よりも昨日の最後のショットで、まだ自分を信じきれていない。力のなさを痛感した2日間でした」と第1戦のラストプレーへの後悔が募る。
この試合の残り10秒、琉球は3点差を追いかける中でのオフェンスで、岸本にボールを託した。しかし、ここで岸本は時間は十分にあったにも関わらず積極的な仕掛けもなく、中途半端な形で3ポイントシュートを打って外してしまった。「あそこは絶対に3ポイントシュートが必要な場面なのに、最後まで良い選択をしようという気持ちが強かった。絶対に自分が決めてやると思っていなかった時点で負けていました」
これで琉球は、天皇杯の滋賀レイクスターズ戦と合わせて3連敗。平日開催も挟む年内の過密日程は、リーグ上位の成績をキープするための踏ん張りところとなる。「こういう時だからこそ、いろいろな方向に目を向けたくなりますが、まずはチームとしてまとまることです。昨シーズンは5連敗をしましたし、その苦い経験を生かして前に進みたい」
このように岸本は、立て直しに向けて意気込むとともに、第1戦のラストプレーの失敗を無駄にしないと誓う。「あの瞬間はもう戻ってこないですけど、まだまだ続く長いシーズンの中で、この経験を生かすも殺すも自分次第。次はまた、違った自分でチャレンジすることはできます」
鉄壁のディフェンスを再構築することが今の琉球には何よりも必要だが、守備での我慢がベースであっても、勝つためには要所でしっかり決めることも必要だ。その役割を任される岸本は、「ここ一番で自分が絶対に決める」との決意をより強くしている。