文=鈴木健一郎 写真=古後登志夫

「自分の中では今年がラストシーズン」

昨日に行われたWリーグの2017-18シーズン開幕記者会見で、トヨタ自動車アンテロープスに所属する大神雄子が今シーズンを現役ラストシーズンと考えていることを明かした。

大神雄子は1982年生まれ、今月17日に35歳となる。桜花学園卒業後にJOMO(現在のJX-ENEOSサンフラワーズ)に加入。2004年のアテネ五輪に21歳で出場し、日本の女子選手として初のプロ宣言、アメリカや中国など海外リーグに挑戦するなど、女子バスケットボール界のパイオニアとして挑戦を続けてきた。

2015年にトヨタに加入し、昨シーズンは最後にJX-ENEOSに敗れたものの、チームのファイナル進出の原動力となった。そしてJX-ENEOSの10連覇を阻止すべく挑む新シーズン、大神は「自分の中では今年がラストシーズン」と言い切った。

引退についての質問に対して、大神はストレートに自分の言葉でこう語った。「セカンドキャリアを考え始めた時、自分の経験を伝えることが恩返しだし、今季でまず一つ区切りをつけてコーチングの勉強をしたいです」

「人間、欲があるので──」大神の壮大な夢

引退は早いような気もするが、大神は壮大な夢を描いている。「私はいつかオリンピックの監督になれるように、選手での時に経験させてもらったオリンピックを、今度は指導者としてオリンピック代表のヘッドコーチになれたらいいなと思ってます。いずれ日本だけじゃなく、海外リーグのコーチもやってみたい思いがあります」

「人間、欲があるので──」と大神は笑った。「WNBAとかヨーロッパリーグとか、引っ張っているリーグがいっぱいあるので、見るだけじゃなく中に入りたい。外から見るのと中に入るのでは感覚が違うと思うので、それを一つのモチベーションにできれば。世界のバスケを見てみたいです。それは女子だけじゃなくて男子もそうで、チャンスがあればBリーグも見てみたい」

ただ、現時点ではセカンドキャリアより先に現役ラストシーズンに集中する。「10連覇に挑戦できるのはJX-ENEOSしかないですけど、それを止める挑戦ができるのは私たち11チームだけですから(笑)。そこは同じスタートラインだと思って挑戦者として楽しみたいです」

トヨタの開幕戦は10月7日、名古屋の稲永スポーツセンターでアイシンAWと対戦する。