文・写真=鈴木栄一

「今まで積み重ねてきたことをとにかくやるしかない」

9月24日、アルバルク東京は今シーズンのメイン会場となるアリーナ立川立飛で、三遠ネオフェニックスとシーズン開幕前では最後の実戦となるプレシーズンゲームを実施した。

馬場雄大、小島元基の2人が欠場したとはいえ、外国籍1人の三遠に78-84で競り負ける敗戦。とはいえ、これはあくまで調整試合であり、結果について深刻になる必要はない。さらなるチーム力アップのための反省材料が出てきたとポシティブにとらえ、開幕に向けての最終調整を行うだけだ。

このオフシーズンについて、チーム最長の在籍年数となるベテランの正中岳城は次のように言う。「来週が開幕ということで、今まで積み重ねてきたことをとにかくやるしかないです。ただ、コーチもよく言っていますが、目標としているところに確実に向かっていると感じています。手応えもありますし、プレシーズンを通してチーム作りにおける一定の必要な工程はこなしてきたなと思っています」

ただ、昨シーズンまでのA東京といえば、ドナルド・ベック(現Wリーグ・トヨタ自動車ヘッドコーチ)、彼の下でアシスタントを務めヘッドコーチに昇格した伊藤拓摩と、7シーズンに渡って同じ路線でチームが動いていた。それが今シーズンは、ルカ・パヴィチェヴィッチが新指揮官となり、6名が新たに加入して、文字通りチームを一新した。それだけに、これまでにない大変さがあった。「本当にこのオフシーズンは、日々の練習をこなしていくのに精一杯でした。本当に『ああ、もう2年目が始まるのか』と浸っている時間がなく、ここまできました」

「相手も分かっている中で相手の対策を越えていく」

大型補強を行ったことで、登録メンバー12名全員が他のチームに行けば先発を担う実力者となった。しかし、リーグ随一のタレント集団である一方で連携については不安定。今のチーム状況を踏まえて、正中はシーズン序盤戦におけるキーポイントを語る。

「新しいコーチとなり、選手も大きく変わったので比較できないことばかりです。今シーズンは完全にリセットされた状態から始まっています。だからこそ体制が継続しているチームと比べると、どうしても成熟度、深みという部分で劣っている面はあると思います。そのマイナス面をどの要素で埋めていくのか、まずレギュラーシーズンの前半戦は、自分たちでしっかりとこれだというものを持っていかないといけない」

「一つの答えとしては激しさだったり、ディフェンスだったりというのはありますが、それをもっと突き詰めないといけない。アルバルクが何をしてくるのか相手が分かっている中で相手の対策をどんどん越えていく。常に高い質のプレーを実行していかなければいけないと思います」

「チームの変化を皆さんに感じてもらわないといけない」

このように慌ただしいオフシーズンを過ごしてきたが、一方でBリーグ全体でのオープニングゲームという去年に比べたら、落ち着いてチーム作りを行えた面もあった。「去年は『歴史的』という形容詞がついたように、開幕戦でいろいろなプレッシャーはありました。今年はそういったプレッシャーがないので、去年に比べると地に足をつけていられた。周囲がバタバタしていた状況ではないので、そこは集中しながら過ごせたと思います」

「昨シーズンは目標に辿り着けなかったシーズンであり、2シーズン目はもっと準備をし、気持ちを盛り上げていかないといけない。一つひとつのステップをこなすことに精一杯というと時期もありました。今日の敗戦などいろいろな学びがある中、個々でそれぞれ2年目に対する決意がある中で、チームとしても一致させないといけないです」

2年目の開幕に向けて意気込みを述べてくれた正中だが、最後に「チームの変化を皆さんに感じてもらわないといけないですし、その自信はあります」と力強いコメントをくれた。新生アルバルクが、どんなプレーを披露してくれるのか。9月30日、アウェーの大阪エヴェッサ戦がシーズン初戦。そして翌週の10月9日、10日の新潟アルビレックスBB戦が駒沢体育館でのホーム初戦となる。