「その時に一緒に戦っている選手は僕ではない」
11月18日、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青は自身が卒業した日本大学の付属高校3校のバスケ部員を対象にクリニックを行った。
川崎や日本代表で実際に取り入れられている練習メニューで様々な技術を学ぶことができ、選手たちにとってかけがえのない時間になった。だがそれ以上に、篠山の思いを肌で感じ取ることができたことが何よりも収穫だったに違いない。
篠山はクリニックの冒頭で、日本バスケ界の未来図を語り、今後のバスケ界を引っ張る役を担う学生たちへ次のようなメッセージを送っている。
「僕たちBリーガーは2020年の東京オリンピックに向けて頑張っています。もちろん、東京オリンピックも大事ですが、その後が本当に大事だと思っています。八村塁選手や渡邊雄太選手、馬場雄大選手だったり、今めちゃめちゃ乗っている若手選手たちが経験を積んで、あと5年以内に必ず日本が強くなる時がやってきます。その時に、一緒に戦っている選手は僕ではないです。今の高校生とか中学生とか、君たちの世代です」
NBAドラフト1巡目指名を受けた八村を筆頭に、2ウェイ契約を勝ち取った渡邊やGリーグでNBA入りを目指している馬場など、日本はバスケの黄金期を迎えつつある。「僕はもう現時点で31歳なので、次のオリンピックは正直目指せないと思います」と、自身の思いを語った篠山は「全盛期の八村と一緒に戦うのは、君たちの世代」と強調した。
「間違いなくモテる職業になってきています(笑)」
4年前にBリーグが発足し、そこから日本バスケ界は右肩上がりに成長を続けた。今ではそれなりの認知度を得るようになったが、今回のクリニックに参加した高校生たちはNBLやbjリーグといったBリーグ以前の暗黒時代を知らない。それを知る篠山はユーモアを交え、今のバスケ界の状況がどれだけ恵まれているかを説明した。
「Bリーガーって夢がある職業になってきています。千葉ジェッツの富樫選手が1億円プレーヤーになったし、某選手は女優さんと付き合っているだとか女子アナとどうだとかいろんな噂がありますけど、バスケットも間違いなくモテる職業になってきています(笑)。僕が高校の時はプロリーグなんてなかったし、観客は何百人とか、1000人もいかないのが当たり前でした。いつかバスケも人気スポーツになればいいな、なんて思いながらやっていました。今はすごく盛り上がっているけど、そういう時代から支えてくれていた人たちがたくさんいるということを、ちょっとでもみんな頭の隅っこに置いておいてもらえたらうれしいです」
また篠山は、こうして盛り上がってきた現在のバスケブームの火を消さないと誓った。「みんなは『夢はBリーガー』って堂々と言えると思うし、Jリーガーとかプロ野球選手になりたいと言う人たちに引けを取らずに、プロの選手になるんだって言えると思う。もっと言うと、世界に飛び出せる選手を目指して頑張ってください。みんながBリーガーになる頃には、本当に夢のあるリーグになっているように、僕らもバスケットの未来のために一生懸命頑張るので」
篠山の言葉はどれくらい生徒たちへ伝わっただろうか。数年後、彼らの中からBリーガーが生まれ、篠山とマッチアップすることもあるかもしれない。そして、日本代表メンバーに名を連ねることを祈るばかりだ