吉田亜沙美

バスケットボール女子日本代表は『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』を終えて、本日早朝にマレーシアから帰国した。4日間で3試合を戦う短期の大会の中で、インド、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリアと、対戦相手のレベルが上がるにつれ日本代表もステップアップして3連勝。中でも最大の収穫は現役引退からカムバックし、久々の代表復帰となった吉田亜沙美が、プレータイムこそ短いものの十分なインパクトを見せたことだ。「久しぶりの日本代表で、楽しみな部分もありましたが、不安の方が大きかったんです。正直、どうなるのかなって」と、確信を持てないまま日本を発った吉田だが、確かな手応えを得て笑顔で帰って来た。

「自分が思い描いているパフォーマンスにはほど遠い」

──お疲れ様でした。吉田選手にとって今回はどんな大会になりましたか?

新しい選手も入って短期間でチームを作らないといけな状況の中で、すごく良いチームになったと思います。3試合やった中で徐々にレベルアップして、1試合ごとに自分たちのやるべきこと、トム(ホーバス)が求めている日本のバスケットができた大会になりました。

私自身もすごく良い経験ができました。ワールドカップ、アジアカップと国際大会をやっていなかったのですが、終わってみれば素直にすごく楽しかったという思いが一番で、同時にもっともっと頑張らないといけないと感じました。いろんな収穫があった3試合でした。

──吉田選手個人としては不安もあったと思いますが、それはだいぶ解消されましたか?

本当に不安で、グッドコンディションじゃない状態で行きましたが、パフォーマンスは悪くなかったので自信になりました。でも「じゃあ自信があるのか」と言われたら、まだ胸を張って自信があるとは言えないのですが、自信に繋がった3試合ではありました。やっとスタートラインに立てたかな、という思いはあります。

──プレータイムはまだ短いですが、コートに立っている間のパフォーマンスはインパクト十分で、ここから体力さえ戻れば大丈夫と見たのですが、吉田選手自身はどう感じていますか?

まだまだですね。自分が思い描いているパフォーマンスにはほど遠いし、まだビジョンが見えていない状態なので。やっぱり去年のパフォーマンスに追い付くだけじゃなく、超えなきゃいけないと思っているので、そうなるともっともっと努力しないといけないし、危機感や緊張感も必要です。でも、まずは今大会は自信に繋がったので、これを生かして次のレベルに向けて上げていきたいです。

吉田亜沙美

「超えられるかどうかよりも、超えなければいけない」

──長らく日本代表は吉田選手がキャプテンとして引っ張ってきました。一度離れて、戻って、今は宮澤夕貴選手がキャプテンを務めていますが、チームを引っ張るという意味でそのアプローチに変化はありますか?

私がやることは変わっていませんが、今は状況が前と違います。トライアウトの身でもあるし、今までと一緒じゃダメだと思っています。最年長だし、経験もいろいろしてきているので、チーム作りも私なりには分かっているつもりなので、練習の雰囲気作りだったり、雰囲気が悪い時にどう声を掛けるかとか、そこは今までと同じスタンスでやっています。キャプテンだからとか、そうじゃなくなったからではなく、練習への姿勢のベースは変わりません。

──吉田選手が代表から離れていた時期にもこのチームはたくさんの若手を呼んで、試して、育ててきました。リオ五輪が終わった時点で、吉田選手には「リオのチームを超えることは難しい」という思いがありましたが、東京オリンピックに挑むチームはリオのチームを超えられるかもしれない、という感覚は得られていますか?

うーん……超えないといけない、と思っています。あの時もメダルを目指していて、結果はベスト8でした。トムは金メダル獲得を目標に掲げてやっているし、トム自身ができるという自信を持っています。だから、超えられるかどうかよりも、超えなければいけない。そんなチームにならないといけないと思います。

例えばリオの時にいたメンバーが、あの時と同じプレーをしていては世界に追い付けないし、追い越せないです。これから個々のレベルアップは絶対に必要で、今大会に参加した選手はもちろん、アジアカップで優勝したメンバーも同じですけど、今はどのチームのどの選手にもチャンスがあるので、12月のリーグと皇后杯でアピールすることが代表に繋がります。そこれ一人ひとりが自覚を持ってレベルアップして、代表のレベルアップに繋げることが大事だと思います。