「3×3を始めたことでスキルアップができた」
『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』に出場するバスケットボール女子日本代表のメンバーは、髙田真希を筆頭に複数の主力選手たちの参加が見送られた。そのため、アジアカップからメンバーの入れ替えがあった中、一番のサプライズとなったのが宮下希保だ。
2017年のU19ワールドカップで馬瓜ステファニー、赤穂さくら、梅沢カディシャ樹奈とともに銅メダル獲得に貢献した宮下だが、これまでフル代表へ招集されることはなかった。また、今夏は3×3代表として多くの国際大会に出場していただけに、本人が「3×3で頑張って、いずれは5人制でもと思っていたので驚きが大きかったです」と、メンバー入りの感想を語るのも当然だ。
ただ、今回の選出について、宮下は3×3での経験が大きかったと感じている。「3×3を始めたことで、個人のスキルアップができたのは大きかったです。それをWリーグでも生かして試合をしているところで、トムさんに見てもらって選んでもらえたのではないか。3×3から繋がっていると思います」
そして、具体的に3×3で得たものを宮下はこう語る。「3×3を経験してフィジカルが強くなった、ドライブした後の接触プレーが嫌ではなくなりました。前はすごく嫌でしたけど、今は接触しながらシュートを決めるという考えに変わりました」
さらに、より試合の状況を考えながらプレーできるようになったと続ける。「3×3は試合でコーチがいないので、残り時間、点数など自分たちで考えないといけない。戦略面についてより意識するようになりました。今まではボールをもらったらとにかくゴールに向かうことばかりで、残り時間とかはあまり見ていなかったです。自分でアタックする時と、そうでない時の判断はこれまでに比べるとできるようになってきたと思います」
「5人制とは繋がっていると考えたことはなかった」
3×3も5人制も同じ日本代表だ。それでも、5人制でも選出されたことには、3×3とは違う感慨もあったという。「自分の中では実際に選ばれるまでは、代表であることは一緒なので気持ちは同じと思っていました。でも5人制で上にいきたい気持ちを持ってWリーグに入りました。そこで3×3の代表に呼ばれ、5人制にも呼ばれると、また違ったうれしさがあります」
3×3と5人制は、同じバスケットボールとはいえ似て非なるもの。それでも、3×3のフィジカルコンタクトの激しさ、1対1での仕掛けがより求められるといった特徴は、5人制でのレベルアップに還元できるものと見られている。
ただ、そうは言っても、この2つが繋がっていることを実際に体現する選手が出てこないと、説得力がないことも事実。だからこそ、ここで宮下が3×3を経てから5人制でも結果を残すことは大きな意味を持ってくる。本人にもそういった意識はある。
「前までは3×3に選ばれても、5人制とは繋がっていると考えたことはなかったです。それが今回、自分が選ばれたので今後も増えていったらいいと思います。その先駆者になれたら」
宮下が3×3で世界を転戦して得た成果をマレーシアの舞台で存分に披露することは、彼女自身のステップアップとなるだけでなく、3×3へのさらなる拡大にも繋がっていくことになる。
図らずもアジアカップで大きな飛躍を果たした赤穂と同じ石川出身で同い年の新星には、日本代表に新たな刺激を与えてもらいたい。