後半に突き離すも、粘られる時間帯が続く
川崎ブレイブサンダースがホームに三遠ネオフェニックスを迎えた第1戦。ニック・ファジーカスがチームハイの24得点を挙げ、5選手が9得点以上を挙げたバランスの良いオフェンスを見せた川崎が97-80で勝利した。
軽快なボールムーブからファジーカスがフィニッシャーとなり、フローターや3ポイントシュートや速攻など次々と得点を重ね、第1クォーターだけで14得点を挙げた。また、ジョーダン・ヒースのアシストから熊谷尚也のアリウープが飛び出すなど、チームオフェンスも噛み合い、25-17と先行した。
第2クォーターに入っても川崎のペースが続き、開始約2分、藤井祐眞のスティールからマティアス・カルファニが速攻を沈め、13点のリードを奪った。
このままリードを拡大していくように思われたが、川崎はここから失速する。佐藤賢次ヘッドコーチが「前半でビッグラインナップは試そうと思っていた」と、話したように、ファジーカス、カルファニ、ヒースを同時起用したが、三遠もデビン・イーバンクス、ジェシー・ゴーバン、太田敦也のビッグラインナップで対抗。
これを川崎は攻めあぐねてターンオーバーを連発し、この試合36得点を奪われたデビン・イーバンクスに連続で3ポイントシュートを許すなど、45-42と点差を縮められて前半を終えた。
セカンドユニットが違いを見せる
後半に入っても、川崎の苦戦は続く。佐藤ヘッドコーチがテーマに掲げる『ソリッドなディフェンス』を遂行するも、一瞬の隙から3ポイントシュートを許すなど、1ポゼッション差の時間帯が続いた。
それでも、チームの完成度と層で上回り、タイムシェアを有効に使った川崎がリードを広げていく。ヒースが連続で3ポイントシュートを沈め、ファジーカスのタッチダウンパスから熊谷が速攻を決めた。
そして三遠のラストポゼッションでは、長谷川技がボールを保持するイーバンクスに執拗なプレッシャーをかけ、オフェンスファウルを誘発するビッグプレーが飛び出す。これでポゼッションを得た川崎は大塚の3ポイントシュートで締め、73-61と点差を2桁に乗せて最終クォーターを迎えた。
第3クォーターを最高の形で終えたことで川崎は勢いに乗った。ファジーカスを全休させながらも、このクォーターで藤井祐眞が9得点3アシストと躍動し、大塚も3ポイントシュートを沈めるなど、セカンドユニットが機能した。
ガス欠に陥り、徐々に集中力が低下していった三遠に対し、全員が強度を落とさずプレーを遂行した川崎は、残り2分にヒースのバスケット・カウントで20点差をつけて勝負を決めた。
ファジーカス「第4クォーター以前は接戦だった」
結果的に大勝を収めた川崎だが、相手は開幕から12連敗中の三遠とあって、苦戦したと言うべきだろう。ファジーカスも「第4クォーター以前は接戦だった」と同調し、言葉を選びながらも現状の課題を口にした。「もっと早い段階で試合を決めることが大事。優勝を目指すチームはそういったメンタルが必要だと思っているが、それがまだできていない」
リーグ10勝一番乗りのチームと未勝利チームの対戦となれば、前者の圧勝と思うのが普通だ。ましてや、優勝を目指すチームであれば、そういった隙を見せることは許されない。
川崎はジョシュア・スミス不在の富山グラウジーズに敗れ、西地区最下位の島根スサノオマジックに敗れるなど、いわゆる格下のチームを相手に勝ちを取りこぼしている。ファジーカスもその点を危惧し、「言い方は悪いが、自分たちよりも順位の下の相手に対してはしっかり勝たなきゃいけない」と話した。
それでも、宇都宮ブレックスと千葉ジェッツに連勝するなど、強豪からもしっかりと勝ち星を挙げ、中地区首位をガッチリキープしていることについて「良いスタートは切れている」と、評価している。
「完成度は分からないが、目指している方向には進んでいる」とファジーカスは言う。安定感が増し、どんな相手に対してもチームが持つポテンシャルを発揮できれば、常勝軍団川崎の悲願達成は現実のモノとなるはずだ。
11月9日のB1 9試合の結果
滋賀89-69富山
宇都宮102-67北海道
名古屋D59-73千葉
大阪78-66横浜
SR渋谷83-72新潟
A東京76-66琉球
川崎97-80三遠
京都78-100秋田
島根81-77三河
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