「スピードでは絶対に負けないと思っている」
3人制バスケ『3×3』の女子日本代表は11月5日から7日にかけて、来年3月に開催される東京オリンピック予選に向けた強化合宿を実施した。9名の候補メンバーに、唯一の大学生選手として名を連ねたのが永田萌絵だ。
今回のメンバーはU23、もしくはフル代表として春から夏にかけて国際大会で多くの経験を積んできた選手たち。その例外が永田で、3×3の実績は今年春に実施した強化合宿と10月のU23ワールドカップのみ。もっとも、U23ワールドカップでのパフォーマンスにそれだけのインパクトがあり、今回の招集に繋がった。
永田は今回のメンバー入りをこう受け止める。「選ばれるとはあまり予想していませんでしたが、素直にうれしかったです。やっぱりU23ワールドカップが終わった時、東京オリンピックを目指したい気持ちが出てきて、もう一度頑張りたいと思っていました」
春の合宿の時点では「他の人とのレベルの差を感じたりして、ちょっとあきらめかけていた時がありました」と、日本代表は遠い存在だった。しかし、そこからワールドカップ出場が決まったことで、オリンピックへの思いが再燃した。とはいえ、3×3で初の国際試合で不安な部分も大きかったはず。それでも、メンタル面で吹っ切れたことで優勝という快挙を成し遂げた。
「大会に呼んでいただいたからには、やるしかない。自分は出場していませんでしたが、去年の大会で悔しい思いをしたメンバーがいます。その思いも感じて、今年こそは優勝する、そのチーム全体の気持ちの波に一緒に乗れました」
「自分もできるんだと自信がつきました」
代表ヘッドコーチのトーステン・ロイブルは、3月のオリンピック予選の出場メンバーをこの9名の中から選出する方針。3×3ではたった4つしかない代表の枠を巡るサバイバルレースにおいて、永田が首脳陣にアピールするのは世界を沸かせたスピードだ。
「外国人選手を相手にしても、今回の合宿でも、スピードでは絶対に負けないと思っているので、そこをしっかりアピールしていきたい。また、機動力を生かしてディフェンスも頑張って貢献したいです。海外の自分より能力の高い、身長のある選手にも通用しました。自分もできるんだと自信がつきました」
5人制でも切れ味鋭いドライブと個の突破力に定評があった永田にとって3×3は、「1対1はすごくスペースがあってやりやすいです」と持ち味を発揮しやすい。その上で今は、「5人制とのファウルの基準の違いにも慣れてきました。あとはフィジカルをもっと鍛えて、強いプレーができるようになりたいです」と、3×3ならではのコンタクトの激しさへの適応を目標に掲げる。
わずか半年で、おぼろげだった東京オリンピックへの道はクリアになってきた。周囲の期待は大きいが、「応援は大きな力になります。注目されることへのプレッシャーはあまり感じていないです。そういう位置に来させてもらっているっていうワクワク感の方が大きい」と、笑顔を見せる。
U23ワールドカップ、ロシアとの決勝戦で永田のビハインド・ザ・バックから反転し相手を一瞬で抜き去った得点は、大会トップ10に選出されるインパクトを与えた。あのようなビッグプレーは会場の雰囲気を一変させる力があり、オリンピックが懸かる大一番でも期待したい。3×3の経験は9名の中で最も少ないが、オンリーワンの独創性を持つ永田は、代表メンバーに相応しい魅力を持っている。