渡嘉敷来夢

吉田は「自分の200%の力を引き出してくれる」

バスケットボール女子日本代表が『東京オリンピック プレクオリファイングトーナメント』に向けて始動した。夏に行われたアジアカップから一部のメンバーは今回の招集が見送られたが、チームの大黒柱を務める渡嘉敷来夢は強化合宿で精力的に汗を流した。

長らく女子バスケ界を牽引してきた吉田亜沙美の代表復帰が注目を浴びたが、渡嘉敷も盟友の復帰を歓迎している。JX-ENEOSサンフラワーズのチームメートでもあるため「白と黄色のウェアから黒になってるだけで、あまり久しぶり感がないです」と言うが「私たちは10年目になるので」と、吉田に絶大な信頼を寄せる。

「バスケスタイルがチームと違っても、相変わらず良いところでパスをくれます。パスを出さないにしても見ててくれたり、本当に細かいところを見てるなって思いますね。私が欲しいところも分かっているし、リュウさん(吉田)の出すところも分かっているつもりです」

ベスト8に輝いたリオ五輪で、2人のコンビプレーは世界を席巻した。吉田が今年の3月に現役引退を発表した際は「まだ動けんじゃん」と内心では思っていたという。そして、再びコンビを組むことが可能となった今、世界への挑戦を心待ちにしている。

「リオ五輪ではベスト8でした。もう一回、一緒に世界に挑戦できるのはうれしいです。自分の200%の力を引き出してくれるので、今から楽しみです」

渡嘉敷来夢

「まだまだ若い子たちには負けられない」

今回のメンバーにはアジアカップでキャプテンを務めた髙田真希が招集されていないため、渡嘉敷は吉田の次に年長となる。もちろん、実績や経験を鑑みても、渡嘉敷は代表当確と見られている。それでも「センターでは私が長老だと思いますが、まだまだ若い子たちには負けられない」と、冗談交じりに若手への対抗意識を見せる一方で、自身が積み上げてきた経験の継承も視野に入れている。「プレー面でも引っ張っていきたいし、あとは自分がWNBAや世界で経験したプレーを若い子たちに教えていきたいとも思っています」

日本はタフなディフェンスからの素早いトランジションと高確率な3ポイントシュートが生命線となる。そのため、センターの渡嘉敷にも3ポイントシュートが要求されていたが、今回の合宿ではアウトサイドよりもインサイドでのプレーが求められているという。

「前回の合宿までは外のシュートを意識してやってましたが、今回の合宿は中で点が欲しいと言われて、ひたすらローポストのプレーを練習しています」

JX-ENEOSでは昨シーズンからゴール下を梅沢カディシャ樹奈に任せ、渡嘉敷は自由に動いてアウトサイドに開くプレーも増えている。日本代表でインサイド主体のプレーに戻ることは「プラスになっている」と、自身の成長に繋がっていることを実感している。

役割は変わっても、渡嘉敷が日本の中心であることに変わりはない。吉田の復帰によりモチベーションも最高潮となった今、渡嘉敷の今後のパフォーマンスにますます注目が集まる。