父の他界後は兄がサポート
ブルズが今年のドラフト全体7位で指名したコービー・ホワイトは、NBAデビュー戦となったホーネッツ戦で17得点7アシスト、続くグリズリーズ戦でも25得点をあげ、ドラフト前の評価に違わぬ実力を証明した。
ノースカロライナ大時代には、マイケル・ジョーダンが1年生の時に樹立した通算得点記録を更新し、その名は全米に広まった。そしてNBA選手になる念願を叶えた彼の晴れ姿を見ようと、敵地でのホーネッツ戦には家族も訪れたが、ホワイトがプロのコートに立つ日を誰よりも楽しみにしていた父は、そこにはいなかった。
ホワイトの父、ドナルド・ホワイトは、2017年8月15日に肝臓ガンで他界した。バスケットボールを教えてくれた父は、ノースカロライナ・セントラル大でプレーしていた元選手で、兄のウィルもまたバスケットボールの選手だったが、プロに進めるだけの力はなかった。
『ESPN』によれば、家族で唯一NBAという狭き門をくぐれたホワイトは、父の死後、右腕の二の腕部分に「FMF(For My Father)」というタトゥーを入れた。そして、父の写真が入ったペンダントを枕元に置いているという。
ホワイトの精神面を支えているのは、兄のウィルだ。以前ノースカロライナの大学でバスケットボールを指導していた兄は、今はシカゴで弟と一緒に暮らし、必要な時にアドバイスを送っている。
ホワイトは兄について「どんな時だって信用できる人間。兄弟は親友のようなもの。何から何まで知っているし、自分にとってベストなことを探してくれる。それに、本当のことを言ってくれる」と、『ESPN』に語った。
「もし自分がやるべきではないようなことをやったり、向かうべきではない方向に進もうとしたら、兄がそう教えてくれる。やり過ぎている時も教えてくれる。兄は、いつだって本当のことを言ってくれる」
ブルズの指揮官ジム・ボイランも、兄のウィルがホワイトに良い影響を与えていることを知っている。「コービーは完成された選手ではない。本人もそのことを理解している。そこが彼の良いところだ。彼の兄も良い影響を与えている。元コーチだったことも幸いしているのだろう」
父が健在だったなら、兄に支えられた弟がプロ1年目に挑んでいる姿を見て、よろこんだに違いない。ホワイトは、家族の希望、誇りとして、コートに立っている。