ヤニス・アデトクンボ

ラプターズ猛追も、MVPの活躍で勝利をもぎ取る

11月2日に行われたバックスとラプターズの一戦は、昨シーズンの東カンファレンスファイナルの再戦。この時は2勝4敗でバックスが屈したが、今回は36得点15リバウンド8アシストと大暴れするヤニス・アデトクンボの勢いがラプターズを上回った。

昨シーズンのMVPアデトクンボを擁するバックスは、そのモンスター級のパフォーマンスを勝利に繋ぐ可能性を高めるためにディフェンスと3ポイントシュートに長けた選手を揃えている。第1クォーターでモノを言ったのはディフェンスで、ラプターズから5つのターンオーバーを誘発、フィールドゴール成功率16.7%(18本中3本成功)の17得点に抑え込む。オフェンスでも36点を奪ったが、アデトクンボの得点は9。堅守から速いテンポの攻撃を仕掛け、アデトクンボ以外の選手も積極的にフィニッシュに行くことで主導権を握った。

後半に入りラプターズが反撃。カイル・ラウリーに引っ張られる形で前半は不発だった3ポイントシュートに当たりが出て追い上げる。それでもバックスは試合序盤のボールシェア優先からエースにボールを集めるバスケットへと切り替えることで、苦しい流れの中でもアデトクンボの強引な得点、そしてブロックショットでリードを守り続けた。

第4クォーター残り2分半、フレッド・バンブリードがセカンドチャンスから3ポイントシュートを沈めて4点差まで迫るが、ラプターズは猛追する間に無理もしてきた。アデトクンボの突破からのアシストを受けたジョージ・ヒルを止めようとカバーに飛び込んだパスカル・シアカムが個人6つ目のファウルを犯してしまい退場に。

こうなっては完全にバックスのペース。ヒルが2本のフリースローを確実に決め、続くディフェンスでは相手の軽率なパスをカット、ここから速攻に走ったエリック・ブレッドソーはレイアップを落としたものの、しっかり走っていたアデトクンボがボールを拾ってダンクを叩き込んだ。これが決定打となり、バックスが115-105で昨シーズンのリベンジに成功している。

「優勝チームを相手に僕らは燃えていた」

「この試合には絶対に勝ちたかった。カワイ・レナードはいなくても他の選手が成長していて、ラプターズが強敵であることには変わりない。優勝チームを相手に僕らは燃えていて、いつもより激しくプレーした」とアデトクンボは言う。

彼は前年王者相手の快勝を喜ぶとともに、この1勝に満足するわけではないと強調する。「プレーを止めちゃいけないし、油断してもいけない。ライバルは僕らを追ってきている。昨シーズンは60勝したけど、どのチームも僕らにまた60勝させるつもりはないよね。勝利は与えられるものじゃなく、僕ら自身で勝ち取らなければいけないものなんだ」

バックスは東カンファレンストップの60勝22敗という成績を残した昨シーズンのチームの主力をほぼ残すことができた。最大のライバルであるラプターズはファイナルMVPのカワイが去り、少なくとも現時点ではバックスが上であることも示した。

シーズンMVPを受賞しながら「まだ自分の才能の60%しか発揮できていないと感じている」と言ったアデトクンボの存在は、バックスの絶対的なアドバンテージ。目先の勝敗ではなく、すでに来るべきプレーオフ、そしてNBAファイナルの戦いを見据えているからこそ、彼らはこのラプターズ戦にモチベーションを燃やしていたのだ。