セブンティシクサーズ

『デイム・タイム』に追い詰められるも劇的な逆転劇

セブンティシクサーズは敵地でトレイルブレイザーズと対戦した。

開幕から4連勝と好調のシクサーズだが、乱闘劇を演じて出場停止となったジョエル・エンビードを欠いては苦戦を免れない。エンビード不在のインサイドを攻められ、中をケアすれば今度は外のフリーを使われる。デイミアン・リラードのゲームメークで優位を作られ、第3クォーター残り4分の時点で77-95とされたシクサーズは、後半2度目のタイムアウトを使わざるを得なかった。

ここからアル・ホーフォードとセカンドユニットを組み合わせたラインナップが奮起。クォーターをまたぎ12-0のランを含む反撃で、18点あった点差を一気に1ポゼッション差まで縮めたのだが、ポートランドでの試合の終盤には『デイム・タイム』が訪れる。

第4クォーターの最初にしばらくベンチで休んだリラードがコートに戻ると、ブレイザーズは息を吹き返す。自らのドライブでディフェンスを引き付けてケント・ベイズモアのコーナースリーを演出すると、続いて連続3ポイントシュートを決めて、3度の攻撃機会で9得点と大爆発。本拠地モーダ・センターはスタンディングオベーションでそのプレーを称えた。

この時点で113-121と8点差。それでもシクサーズは2点シュートを確実に決めてダメージを最小限に抑え、激しいディフェンスからリズムを作り直す。特にリラードには、スクリーンを掛けに行く味方にも徹底してプレッシャーをかけ、抜け出しそうになればファウルで止めた。

残り2分、リラードからボールを奪ったシモンズがワンマン速攻をダンクで締め、残り1分にはアル・ホーフォードがピック&ポップからシュートフェイクを入れてドライブ、こちらも豪快なダンクで締めて1点差に。そして残り10秒、シモンズがフリースロー2本を決めて逆転した。

だが、ここからが本当の『デイム・タイム』だった。リラードがドライブでジョシュ・リチャードソンを振り切り、ディフェンスを引き付け左コーナーへと強烈なパスを送る。アンファニー・サイモンズがこの3ポイントシュートを決め、残り2.2秒でブレイザーズが再逆転したのだ。

それでもシクサーズは屈しない。残り2.2秒でのリスタート。絶体絶命の状況でアル・フォーホードがオフボールスクリーンでフルカン・コルクマズのマークを引きはがす。ワンテンポ遅れたリラードが懸命に飛び込むも、その一瞬先に放ったコルクマズのシュートがリングを射抜き、熱戦に終止符を打った。

コルクマズは「これまでのキャリアで最も価値のあるシュートで、何と表現したらいいか分からない。練習でやってきた形だったし、絶対にオープンになると分かっていた」と語る。そのコルクマズにパスを送ったシモンズは「彼がオープンになった瞬間、決まったと思ったよ」と笑顔を見せた。

これでシクサーズはNBA全30チームで唯一無敗を守るチームとなった。シクサーズにとって開幕5連勝は2000-01シーズン以来。つまり、コービーとシャックのレイカーズに敗れたもののNBAファイナル進出を果たし、アレン・アイバーソンがシーズンMVPに選ばれた『伝説』のシーズンだ。この時のシクサーズは開幕10連勝を記録している。今のシクサーズはどこまで連勝を伸ばすだろうか。