「スコアを狙わないと僕が出ている意味がない」
アルバルク東京のホームに乗り込んだ第6節、シーホース三河は第1戦を84-92、第2戦では95-99と連敗を喫した。
同じ敗戦ではあったものの、2試合の内容には差があった。第1戦では得点源である金丸晃輔が15点、ダバンテ・ガードナーは11点とA東京の徹底マークを受けて沈黙。しかし、続く第2戦で金丸はゲームハイの35得点を挙げた。
それでも金丸は第2戦の手応えを語るわけでもなく、彼らしく淡々としていた。「出ている間はスコアを狙いに行っているので、僕がそれをやらないと出ている意味がなくなります。だからその意識を持ってやっているだけです」
金丸が言うように、試合に臨む姿勢はいつだって同じ。それでも第1戦で得点が伸びなかった理由について「僕はいつも狙っているけどボールが来ないとか。タイミングのズレとかもあったので、それは仕方がない」と振り返る。
金丸は同じ1プレーでもチームメートと息の合ったプレーを大切にしていると以前から繰り返し語っている。この『タイミングのズレ』がなくなった時に、金丸が思い描いていたシュートが打てるようになる。
これまで10試合を終えて金丸は平均15得点と、今までとは変わらない得点力を発揮しているが、チームメートとの息の合ったプレーが出始めている感覚はあるかと問うと「まだまだですかね」と苦笑いを浮かべた。
「僕が攻めたい時はコールして、そういうシチュエーションを作ってもらっているんです。だから僕のシュートは、みんなの協力がないと生まれないので、今はまだまだです。そこを改善するには、ここに欲しいとか、こういう時間帯はこういう選択肢ということを、練習とかでも言っていくしかないです」
「ゲームの締め方がまだ全然できていない」
三河は現在3勝7敗と黒星が先行している。その理由について金丸は「勝負どころで何をしたらいけないか、何をすればいいのかをまだ共通理解ができていない」と語った。
第2戦では、第4クォーターで三河が連続得点から一度は逆転に成功した。しかし「そこからの試合の運び方がちょっとウチはダメでした」と金丸が言うように、終盤の試合運びに大きな差が出た。この『ゲームの締め方』の問題が、負けが先行する理由の一つだと金丸は指摘する。
「ゲームの締め方がまだ全然できていないから、今までのゲームでも接戦を落としているんです。そこをみんなが本当に理解できれば勝てるんです」
実際、今シーズンここまでに喫した7敗のうち、3試合は4点差、2試合は6点差と僅差で敗れている。一方で3勝は10点差、19点差、16点差と2桁のリードを奪っている。爆発的なオフェンス力で圧倒できればいいが、接戦を勝ち切る力をつけないと勝率は上がってこない。新しい選手を多数加えた三河にとっては、この部分をいかに早く確立できるかで、レギュラーシーズン全体の成否が左右される。
「だけど今は意図のないオフェンスをやったりしていて、勝ちに繋がらない。特に接戦の時は、一本一本のミスが命取りなんです。だから、そこの一本一本の大切さ、何をしたらいいのかという判断、そういうことをしっかりやらないと勝てません」
「ブレイクがこのチームの強みにならないといけない」
リーグ屈指のディフェンス力を誇るA東京から95点を奪ったことで、三河のオフェンス力が前評判に違わないことは証明された。ただ、そのオフェンスを機能させる意味でもディフェンスが大事だと金丸は言う。
「ディフェンスからのブレイクがこのチームの強みにならないといけない。ゆっくりボールを運んで、『はい、やります』とスタートしても時間も少ないし、相手にとってはディフェンスをセットした状態から始まるので守りやすいです。そうさせないためにも、良いディフェンスをしてファストブレイクポイントを狙うのが一番シンプルで簡単です。僕としてもシュートを打ちやすいですし、できればそういう形を増やしていきたいです」
第2戦ではファストブレイクポイントで12-8とA東京を上回っていた。金丸もそこには手応えを感じ、新チームの強みにしていきたいと願っている。
リーグ屈指の得点力を誇る選手が集まる三河は、まだ粗削りな部分が多いが、金丸が言うように良いディフェンスからオフェンスを組み立てることができるようになれば、今以上に安定してそのオフェンス力を発揮できるチームへと進化していくはずだ。
まだまだチームケミストリーという部分では課題が残るが、試合をこなすことで解消されていく面もある。試行錯誤の中でも勝ち星を重ねつつ、金丸がチームメートとともにチーム力を高めていくことに期待したい。