勝負は後半、第3クォーターに集中を高めた川崎
10月26日、川崎ブレイブサンダースが敵地に乗り込みサンロッカーズ渋谷と対戦。ともに激しい守備で相手のミスを誘発して、終盤までもつれる熱戦となったが、勝負どころでの遂行力に差が出て川崎が81-74で競り勝った。
両チームともに今シーズンはリーグ有数のタイムシェアを行ない、守備の強度を維持している。この試合でもSR渋谷は第1クォーターにベンチ登録10人が出場。川崎も第2クォーター序盤には故障から復帰の辻直人を含めた登録12人全員がコートインする。この積極的な選手交代によるインテンシティの高い守備を互いに攻略できず。前半は34-34の全くの互角で終える。
だが、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「第3クォーターでハードなディフェンスからファストブレイクを出せたことが勝因でした」と語り、SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「ウチにも勝機がありましたが、第3クォーターで少し慌てた時間帯があったのが響きました」と振り返る第3クォーターに、試合は大きく動いた。
川崎は前半を超える激しい守備でSR渋谷に襲い掛かり、ミスを連発させる。その隙をついて藤井祐眞らがトランジションからレイアップなど次々とイージーシュートを沈めて怒涛の14連続得点。54-41と一気にリードを2桁に広げた。
その後、ホームのSR渋谷もベンドラメ礼生らの奮闘で徐々に追い上げ、第4クォーター残り2分半には4点差にまで肉薄する。ただ、ここからSR渋谷はフリースロー失敗、パスミスなど拙攻が続いて自滅。ニック・ファジーカスの確実な得点など要所を締めた川崎が逃げ切った。
強さの理由は「選手交代をしながらのディフェンス」
これで8勝1敗とした川崎の佐藤ヘッドコーチは、「渋谷さんの強みはオフェンスリバウンドとスティールで両方ともリーグ1位。そこを抑えられるように試合前に伝えましたが、全然できなかった」と試合後に反省点を語る。
ただ、それでも競り勝てた要因はやはりディフェンスにあった。「お互いに守備の強度を売りにして、それで結果が出ている。どっちがよりディフェンスの強いチームか証明しようと話をしていました」
このように試合前、指揮官は発破をかけたことを明かし、その上で「選手交代をしながら、ディフェンスの強度を40分継続することができました」と続けた。
また、川崎は冒頭で触れたように、これまでになく早い段階でベンチ登録全員を起用した。指揮官は今シーズン初黒星を喫した富山との試合が采配に影響を与えたと明かす。「前半で全員を使い、誰がどういうエナジーをもってどういう状態で試合の臨んでいるのか見たかったです。そして、出た選手がそれぞれ良いところを見せてくれました。試行錯誤しながらの起用ですが、きっかけは富山戦の負けでした。いろいろな反省があり、その結果、良い形ができています」
悔やむベンドラメ礼生「もったいなかった」
一方、SR渋谷は善戦も一歩及ばず開幕5連勝の後の連敗となった。伊佐ヘッドコーチは、数字にでないミスもあり、それが37.5%とシュート成功率の低さに繋がったと言う。
「川崎さんのディフェンスの強度は高く、自分たちはオフェンスの基本がしっかりできていなかった。ボールキープ、パスのところで安易なミスがありました。ターンオーバーにならなくても、パスがボール1個分ずれることで精度の低いシュートに繋がってしまいました」
この試合、22得点を挙げたベンドラメ礼生も「ターンオーバーが19あり、しかも勝負どころで立て続けてやってしまいました。そして第3クォーターもミスから30点取られたのはもったいなかった」と敗因を語る。
さらにチームの中心を担うベンドラメ自身とセバスチャン・サイズの2人がファウルトラブルで思うようにプレーできなかったことを悔やんだ。
「セバスチャンと僕のファウルトラブルはもっと考えないといけない。第1クォーターで2つファウルして、今日は19分と普段より5、6分出場時間が少なかった。セバスチャンも気持ち良くバスケットができていなかったです。点差を詰められた時は、セバスチャンが出ていて僕が縦にカットしてシュートし、そこからリバウンドが取れての得点が続いていました。僕らのファウルがなければ展開が変わっていたはずです」
ターンオーバーの数は川崎が20、SR渋谷が19と多かったが、それでもミス多発の締まらない試合ではなく、激戦の印象が強かった。それは会場の盛り上がりが示している。今日の試合も激しい削り合いの中、どちらが我慢を続けられるかが勝負を分ける鍵となりそうだ。
10月26日のB1 9試合の結果
京都60-68新潟
A東京92-84三河
名古屋D83-72横浜
大阪82-77北海道
千葉79-67島根
SR渋谷74-81川崎
秋田77-63滋賀
富山75-88宇都宮
琉球74-59三遠