八村塁

八村のダブル・ダブルに匹敵するライバルたちの活躍

ウィザーズの八村塁は、NBAデビュー戦で14得点10リバウンドと上々のパフォーマンスを披露した。全米の注目を集めるドラフト全体1位指名のザイオン・ウィリアムソンが膝を痛めて開幕から約2カ月を欠場することになり、八村にも新人王の可能性が取りざたされている。だが、そのザイオンを除外して考えたとしても、新人王の道は険しい。ドラフトの『当たり年』とは見なされていない2019年組にも、即戦力としてNBAで結果を出せる選手は多数いるからだ。

その筆頭が1巡目2位指名のジャ・モラント。マイク・コンリーを放出したグリズリーズの先発ポイントガードとして、すでにチームの中核としての地位を確立。得点もアシストもできる総合力の高さが武器で、ヒートとの開幕戦では14得点4アシストのスタッツ以上に、コートにおける存在感が目立った。渡邊雄太から背番号12を譲り受けたモラントは、再建期にあるグリズリーズの『新たな顔』としてNBAのスターポイントガードに成長しそうだ。

1巡目3位でニックスに指名されたRJ・バレットも大きな可能性を秘めたスコアラー。昨日の開幕戦ではユーロステップでアリーナを沸かせて25得点を記録。堅守自慢のスパーズを相手にフィールドゴール18本中10本成功と効率の良さも光った。

2019年のドラフトではこのザイオン、モラント、バレットの3人が実力で他をリードしていると言われるが、タレントはまだまだ多い。1巡目4位指名でホークスに加入したディアンドレ・ハンターはライバルから1日遅れでのデビュー戦となったが、先発出場で14得点を記録。フィールドゴール8本中5本成功、3ポイントシュートも2本決めており、チームの開幕戦勝利に貢献した。

ブルズから1巡目7位指名を受けたコービー・ホワイトは奇抜な髪型と屈託のないキャラクターで加入当初から人気だったが、デビュー戦でベンチスタートながら17得点7アシストと見事な活躍。その試合の対戦相手であるホーネッツでは、1巡目12位指名のPJ・ワシントンがチーム最長の38分のプレータイムを得て27得点の荒稼ぎ。3ポイントシュート7本成功はルーキーのNBAデビュー戦としての記録であり、彼もまた新人王を狙えるタレントだ。

八村を含めたドラフトの上位指名選手たちは、前年に結果を出せなかった再建期のチームに加入しており、プレータイムを得るのが容易な状況にある。優先的に出場機会を与えられる中で、個人のスタッツはもちろん、「勝てないチームを勝たせる働き」が評価される。

そして、ザイオン・ウィリアムソンも新人王候補から降りたわけではない。『レブロン以来の大物』と呼ばれる才能は、プレシーズンですでに証明済み。八村にとって新人王への道はかくも険しいが、このままスタメンに定着できたとすれば、次に目指すのはチームとしてはプレーオフ進出で、個人としては新人王になっていいはずだ。