「バスケットの変化に選手が対応しきれていない」
10月23日、三遠ネオフェニックスは敵地に乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦。序盤から劣勢を強いられ、そのまま87-94で敗れた。これでチームは泥沼の開幕8連敗となった。
三遠の顔である太田敦也は、チームの現状をこう語る。「正直、前節の渋谷戦の辺りから、結構割り切ったというか吹っ切って、全員でとりあえず手探りでもいいから前に進もう、ガムシャラに行こうという感じです。暗闇から出てきている部分はありますが、細かいところができていないので、結局は勝ちきれなかったのだと思います」
Bリーグ初年度こそチャンピオンシップ出場を果たした三遠だが、その後の2シーズンは黒星先行と低迷。この結果を受けて今オフには、3年間ヘッドコーチを務めた藤田弘輝が退任。かつて東芝(現在の川崎ブレイブサンダース)で選手とアシスタントコーチの経験があり、日本のバスケ事情にも明るいブライアン・ロウサムを新たな指揮官に招聘し、チームの刷新を図った。
だが、今のチームは変化に伴う痛みに苦しんでいる。太田はこう語る。「これまで約束事が多いチームだったのが、今は結構フリーランスなところがあります。この変化に選手が対応しきれていない。誰かが仕掛けた際、周りがうまく連動できずに1対1の場面がすごく見受けられます。それはベンチで見ていても、コートに立っていても感じます。それで結果が出ないことで、いろいろなフラストレーションが溜まってしまった時もありました。ただ、そういう悪循環からは徐々に抜けてきていると思います」
開幕から続く連敗に「動揺はもちろんありました」
この悪循環からの脱却や明るい兆しは、この試合でも見られた。試合途中で最大18点のリードを奪われながら、第4クォーター途中には6点差にまで盛り返したことを「そのまま凹んでいかず、ああやって追い上げられたのは評価しなければいけない」と太田もポシティブにとらえる。
ただ、「最初の出だしで持って行かれるのは自分たちの課題」と、今回に限らず第1クォーターでリードを奪われ、追いかける展開からスタートすることなど、課題はいろいろとある。
大学卒業後、太田は前身のOSGに加入した2007年からここまでずっとチーム一筋だ。百戦錬磨のベテランである彼にとっても、ここまで開幕から負けが続くのは初めてのことで、「動揺はもちろんありました」と振り返る。
ただ、それでも太田は現状をしっかり受け入れ、リーダーとして何よりも行動でチームの進むべき方向性を示したいと考える。「35歳でそれなりにいろいろとやってきても、これは初めての経験です。でも、こういう中でも、やっぱりもがいて活路を見いだしていくことが必要。できれば経験したくはなかったですけど、今となってはこれも今後に生きる経験としていきたいです」
「アドバイスを言ったりしますけど、僕自身もあまり良くない部分がすごく多いです。まずは初心に振り返ってと今は思っていて、変なミスをやめる。年下の選手の模範となるようなプレーをしたい。言葉よりまずはプレーで示した方が伝わると今は特に思っています」
切り替えて前向きに「みんな腹をくくっている」
なんとか勝ち星を挙げて早く負の連鎖から逃れたい三遠だが、一方で今後の日程は今週末がアウェーでの琉球ゴールデンキングス戦。その後、ホームでの大阪エヴェッサ戦を挟んで再びアウェーで川崎と当たり、続いてアルバルク東京と11月までタフな日程が続く。
ただ、太田は後ろ向きにならず、前を見据えている。「僕もそうですし、みんな腹をくくっていると思います。もう落ちるところまで落ちてはいるので、後はもう上がっていくしかない。そして、手探りだろうが何だろうが、とりあえず今は少しずつ上がってきていると思います」
シーズン序盤に迎えた危機を三遠がどうやって乗り越えていけるか。苦境の時こそ、太田のような味方を生かす献身的なプレーを遂行するハードワーカーの存在はより重要になってくる。