「チームの流れを作ることができる貴重な存在」
島根スサノオマジックは横浜ビーコルセアーズを下し、今シーズン初勝利を挙げた。
ディフェンスで我慢を続けたことでオフェンスが一気に爆発。第3クォーターから最終クォーター序盤にかけて19-0と走ったことが決定打となった。
開幕から連敗が続いていたものの、6試合を終えての平均失点は71.7と安定している。だが、チームを指揮する鈴木裕紀が「ウチは個の力でスコアできない」と言うように、リーグワーストの平均63.3得点という慢性的なオフェンス力不足が連敗を招いていた。
昨日の横浜戦でも、前半を終えた時点で32-36と得点力不足が響き、ビハインドを背負った。それでも後半に入り、時間が進めば進むほど島根のチームオフェンスが噛み合っていった。セットプレーでもフリーオフェンスでもチームが連動し、タイミング良くパスが決まってイージーシュートの機会を作り出す。これに一役買っていたのが阿部諒だ。ボールを散らして良いボールムーブを生み出して決定的なパスを供給し、後半だけで5アシストを記録した。
阿部も自身の強みをこのように語る。「僕の良さはドライブしてキックアウトだったり、パスを止めずにプレーするところ。オフェンスが重いなって感じた時に役に立ちたいと思っていて、ペイントタッチとルーズボールが強みです」
阿部が言うように、チームの強みであるディフェンス面での貢献度も高く、しっかり身体を当てて、相手の嫌がるポジショニングを取り続けている。鈴木コーチも「彼は派手な選手ではないですけど、ディフェンスだったり、チームの流れを作ることができる貴重な存在」と話し、日本人トップの11得点を挙げた北川弘とともに「2人がウチのフローを作ってくれた」と、初勝利を挙げた試合での活躍を称賛した。
「活躍する選手は活躍するなりの理由がある」
阿部は拓殖大在学中に特別指定選手としてサンロッカーズ渋谷に入団。大学卒業後、島根とプロ契約を結んだ。拓殖大4年時にはリーグ戦優勝、インカレ3位に輝いた。身体能力に頼らずともドライブやジャンプシュートで効率的に得点し、両大会で優秀選手に選出された。
現在4連勝中のSR渋谷の杉浦佑成は同期にあたり、「佑成には負けたくない」とライバル視している。また、昨シーズンの新人王に輝いたシーホース三河の岡田侑大は阿部が4年生の時の新入生という関係。
B1の舞台で結果を残す同期や後輩を見て、「負けたくない気持ちはありますけど、活躍する選手は活躍するなりの理由があるので見習いたい」と、謙虚な姿勢を崩さない。
また「昨シーズン、僕ももがいてやってきました」と、島根でローテーション入りした経験を自信にしている。「先輩たちについていくのに必死だった昨シーズンより心に余裕があって、周りが見えてると思います。チャレンジャーとして『やってやる』って気持ちは大きいです」
島根は待望の初勝利を挙げたが、まだ西地区の最下位であることに変わりはなく、これからが本当の戦いとなる。鈴木コーチは「ディフェンスもオフェンスもチームでやり続ける。仲間を信じてやり続けなければ、これから先に結果を残すことはできないと思っています。今後右肩上がりに上げていきたい」と、決意を表した。
「勝って兜の緒を締めよじゃないですけど、もう一回気持ちを引き締めてやっていきたいです。誰か一人が良くてもダメだし、チーム全員が同じ目標を持って戦っていきます」と、指揮官と同じ見解を示した阿部。彼がバランサーとしてチームに好影響を与え続ければ、島根は『最低14位以内』という目標を上方修正できるかもしれない。
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