文=鈴木健一郎 写真=バスケット・カウント、©JBA

圧倒的なサイズ差に苦戦しながらも溌剌とプレー

『バスケットボール女子U24 4カ国対抗2017』で、U-24日本代表はカナダ、オーストラリア、アメリカという強豪と貴重な実戦経験を積んだ。どの国も大型選手が揃い、平均身長173.3cmの日本はどのポジションでも高さのミスマッチを強いられた。特にセンターは20cm近い身長差に加え、身体の分厚さも段違い。コートに出てきた瞬間からフィジカルの差は明らかだった。

ただ、それは世界を相手に戦う以上は受け入れ、乗り越えなければいけないこと。3試合すべてに先発出場し、平均18分半のプレータイムを得た日本のセンター、田中真美子は「結果が付いてきていないので楽しかったとは言えませんが、良い経験ができました」と語る。

「楽しかったとは言えません」と言いながらも、そこには充足感が見て取れた。課題はあったが、それと同じぐらい収穫も得たという表情だ。取材をした大会最終日のアメリカ戦、相手の先発センターと田中のサイズは高さで20cm、重さで20kgの差があり、大苦戦を強いられたのだが、田中は溌剌とプレーし続けていた。「厳しいですけど、アメリカと戦うことができるのはすごい経験なので、感謝して楽しんだほうがいいと思ってプレーしました」と田中は笑った。

「カナダやオーストラリアには自分のフィジカルが通用した部分もあったのですが、アメリカの印象はやっぱり強いです。歯が立たないとは思いませんが、レベルの差は感じました。断然うまかったです。身体の使い方も違いました」

フィジカルとは別のアプローチで世界と渡り合う

単純な力比べでは歯が立たない。それ以外のアプローチで田中はゴール下の重責を果たそうとしている。「ディフェンスでは、ポストのところには周りがケアしてくれます。そこで自分は身体を張って、インサイドで良いポジションを取らせず、チームディフェンスで守っています。フィジカル勝負になったら自分の力を出し尽くして、思い切ってぶつかるしかないです。あとはボールマンプレッシャーをしてパスを出させないとか、そういう守り方もあるので、ユニバではもう一度、徹底してやりたいです」

オフェンスはどうだろうか。「高さではミスマッチがあるので、国内でやっているローポストのポストプレーは通用しません。なので外へ外へと引っ張り出してのミドルシュート、そこから抜いてレイアップとか、そういう形で攻めたいと思います」

1試合平均5.3点は田中自身にとっては物足りない数字。良い形でミドルシュートを打つことはできているのだが……。「そうなんですけど、入らなくて」と田中は苦笑するが、「ガード陣がズレを作って自分たちをノーマークにしてくれるので、そこは決めきらないと。時間はないですけど練習で打ち込んで、本番では決めます」と表情を引き締めた。

東京オリンピックへの意識よりも「今はユニバだけ」

1996年生まれの田中は東京オリンピックを23歳で迎えることになるが、目標はあくまでユニバーシアード競技大会だ。「2020年は出れたらいいなとは思いますが、今はユニバだけです。大学に行くと決めた時点で『ユニバに出たい』という気持ちが強かったので。その後もユニバはもう一度チャンスがあるので、また選んでもらえるか分からないですけど、そこも目標です」

そのユニバーシアード競技大会への抱負を田中はこう語る。「チームメートのレベルが高いので、それに見合ったプレーができるように、自分にできることを一生懸命やってチームに貢献したいです。みんなで力を合わせて金メダルを取りたいです」

前回大会の4位を上回れば、すなわち『メダル獲得』となる。大会に向けた準備はきっちりと整えた。A代表とU-19が世界で結果を出している女子日本代表、この夏を締めくくるU-24代表にも大いに期待したい。