山本麻衣

チームの総合力で優勝「本当にバランス良く攻めた」

3人制バスケ『3×3』のU23ワールドカップに挑んだ女子日本代表は決勝でロシアを下して優勝した。様々なカテゴリーが存在する中、日本が『世界一』に輝いたことは史上初の快挙だ。

「バスケ界で世界一というタイトルを最初に取ることができて、すごくうれしいです」。そう語ったのは、最年少ながらチームを牽引した山本麻衣だ。山本はボールハンドラーとなり、ドライブや2ポイントシュートで得点を量産。チーム最多得点(世界3位)を記録し、勝利に大きく貢献した。

決勝を戦ったロシアには過去に何度も苦汁を飲まされてきた。だが、その経験があったからこその優勝があると山本は言う。「今まですごく負けてきましたが、その負けがあったからこそ、今回勝てたなというのがすごくあります。アジャストだったり、メンタル面でも余裕が持てたと思います」

ロシア戦は残り1分で1点差と最後まで拮抗した展開だった。だが、山本が言うように気持ちに余裕があった日本は、相手のチームファウルも頭に入れつつ落ち着いてプレーし、19-14と終盤に突き放して優勝を成し遂げた。「ネーションズリーグでもそうでしたが、いつもはあそこで逆転されて負けたりしていました。あそこで我慢できたことが、勝てた一番のポイントだと思うので、そこはチームとして成長できたかなと思います」

山本麻衣

「みんなの支えや頑張りがあったからこそ」のMVP

山本を中心としたチームではあったが、各自が持ち味を生かし、自分の役割を全うしたことが世界一に繋がった。山本もチームの総合力を強調した。

「バランスが良いなって思いました。自分のシュートも生かせるし、永田(萌絵)さんのドライブだったり、馬瓜(ステファニー)さんと西岡(里紗)さんの中のプレーだったり。本当にバランス良く攻めれて、みんながコンスタントに点数が取れたので、相手もアジャストしにくかったと思います」

世界一の原動力となった山本は大会MVPに輝いた。得点やアシストにフル回転し、チームの中心選手として活躍したのだから当然の結果と言える。だが、山本は「すごくチームを良くしてくれたし、今回のMVPは永田さんだと思っていた」と明かした。

確かに永田は総得点で山本と1点しか変わらず、貢献度も高かった。それでも、「めっちゃ聞こえてましたし、気持ち良かった」と笑顔で話すように、山本への歓声は特に大きなものだった。「みんなの支えや頑張りがあったからこそ」の受賞だと強調しつつ、「もらえてうれしいですけど、逆にもっと頑張らなきゃなって思いました」と、エースの自覚をより高めることとなった。

女子日本代表

『日本は山本を潰せば終わり』を払拭

世界一に輝くとともにMVPを受賞し、そして2ポイントシュートコンテストでも優勝するなど、山本にとって最高の大会となった。自身やチームの成長を感じ取れた大会を終え、山本はこのように振り返った。

「去年から3×3をやって、今シーズンもずっとネーションズリーグなどでやってきたので、アジャストされることが多かったです。『日本は山本を潰せば終わり』みたいに思われることもあって、実際に予選のフランス戦で負けました。そこを修正できたのが一番大きかったです。自分が思うようなプレーができなかった時に相手を生かす側に回ることを意識して、決勝トーナメントはできました。いつもとは違った大会になりました」

今後は所属するトヨタ自動車アンテロープスに戻り、先日開幕したばかりのWリーグへ戦いの場を移すが、「チームでしっかり結果を残して、また『3×3』に選ばれたらもう一回挑戦したいです」と、2足の草鞋を履く準備は整っている。

3人制と5人制の両立は決して簡単なことではない。それでも、頂点からの景色を眺めた山本なら、どちらの競技でも結果を残してくれると期待せずにはいられない。