開幕戦で宇都宮に快勝「チームは常に一丸だった」
10月3日のB1先出し開幕戦、川崎ブレイブサンダースは宇都宮ブレックスに78-57で快勝した。
勝因は何と言っても佐藤賢次ヘッドコーチの目指すハイエナジー、ハイインティシティのプレーを40分間続けられたこと。昨シーズンにはなかなか見られなかった高い強度を支える原動力となったのが、ウルグアイ出身の新戦力、マティアス・カルファニだ。
204cm99kgのカルファニは、サイズに加え豊富な運動量と軽快なフットワークでコートを動き回り、タフなディフェンスを披露。また、優れたボールハンドリングで自ら積極的にボールをプッシュして攻撃のペースを上げ、巧みなパスで味方の得点チャンスを作り出す。結果、堅守とリバウンドが自慢の宇都宮を相手に10得点12リバウンド4アシストと、鮮烈なデビューを飾った。
「とてもハードなプレーを続け、良い時、悪い時もチームは常に一丸だった。速いテンポでスマートにプレーする。これこそ僕らが必要としているもの。何よりも勝てたのが良かったね」
こう試合を振り返るカルファニは、大きなインパクトを与えたニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒースと3人を同時起用するビッグラインアップについて自信を見せる。
「僕たち3人が一緒にプレーすれば、相手にとって攻めはかなり難しいだろうね。すべてのスクリーンに対してスイッチできる。また、攻撃ではニックをオープンにすることができる」
2016-17シーズンにはラマスの下でリーグ優勝
ちなみにカルファニは、昨シーズンまで日本代表の指揮官フリオ・ラマスが来日する前に指揮を執っていたアルゼンチンの強豪サン・ロレンソに所属。2016-17シーズンにはラマスの下でプレーし、1試合平均で約25分出場、約10得点6リバウンドで国内リーグ制覇に貢献した。
「ラマス、そして(エルマン)マンドーレとは、1シーズン一緒だった。彼らはまず何よりも素晴らしい人物であるから、話すのは楽しい」と、信頼を寄せる2人から、川崎と契約するにあたっての情報を集めたそうだ。
その上で川崎を選択した理由を「このリーグでも素晴らしいチームだとラマスから聞いていた。彼からは、ワンステップ上の挑戦を毎年続けることが選手キャリアには大事だと言われていて、その考えを僕も気に入っている。だから、川崎を新チームに選んだ」と語る。
ウルグアイ代表はあと一歩で今夏のワールドカップ出場を逃したが、カルファニは南米予選で10試合出場、1試合平均26.7分出場の6.7得点5.3リバウンドを挙げていた主力の一人。同国が出場を決めているオリンピック最終予選にメンバー入りする可能性は十分にある。
「ここのファンは素晴らしい、彼らの声援が必要だ」
開幕戦、見事な勝利を挙げた川崎だが、一方で19ターンオーバーなど凡ミスも目立った。カルファニも勝てたことはうれしいが、「試合を重ねるごとに改善していかないといけない」と内容について満足しているわけではない。
そして明日はいよいよ本拠地とどろきアリーナでの開幕戦となる。「ここのファンは本当に素晴らしいサポートをしてくれた。これからも勝つためには彼らの声援が必要だ」とカルファニは早くも川崎の熱狂的なサポートに感銘を受けており、だからこそ開幕連勝への強い意欲を見せる。
昨シーズンの川崎は、ファジーカスと外国籍選手のコンビネーションが最後までしっくり来ない印象があった。しかし、今シーズンはそんな心配は無用ではないか、と感じさせるカルファニの鮮烈デビューだった。