それでも三屋会長は「2チームの出場を目指す」
3人制バスケットボール『3×3』のオリンピック開催国枠が1枠に減少されたことを受け、日本バスケットボール協会は会見を開いた。
三屋裕子会長はFIBAから通達を受けて「複雑な思い」だったと明かす。それでも、開催国枠が1つ減少しただけで、東京オリンピックに出場できなくなったわけではない。「そもそものルールに戻っただけで、2チームの出場を目指していく」と強気な姿勢を示した。
3×3のオリンピック出場チーム数は男女ともに8。このうち11月1日時点でのFIBAランキング上位4チームに出場権が与えられる際に、日本の男女でランキング上位のいずれかが開催国枠での出場を決める。
FIBAランキングは10月3日時点で男子が9位、女子が11位。それでも3×3のランキングは毎日のように変動するため、男女どちらが11月1日時点で上位になるかは読めない。
いずれにしても、開催国枠に決まらなかったチームは、来年3月に開催される開催されるオリンピック予選(ここで3枠が決定)と4月のユニバーサリティーオリンピック予選トーナメント(ここで最後の1枠が決定)に出場し、自力で出場権を勝ち取らなければならない。
春から夏にかけてランキング急落、出し抜かれた日本
ここから日本バスケットボール協会は、2つの路線を同時並行で進めていく。まずは今月中にポイントを稼ぎ、ランキングを4位まで押し上げること。日本男子は約1860万ポイントで、4位のアメリカは約2470万ポイント。日本女子は約500万ポイントに対し、4位フランスは810万ポイント。いずれも差は大きいが、例えば現在開催中の女子のU23ワールドカップで優勝すれば、出場選手1人あたり8万ポイントが加算されるため、4人で32万ポイントが入ってくる。男子も今週末のワールドツアーを始め国際大会が続くため、ここで好成績を挙げることが重要になる。
また、国内大会を大量に行い、ポイントを稼ぐのも手。3×3のランキングはその国の3×3プレーヤー上位100選手のポイント合算で算出されるため、下位選手まで何大会もプレーしてポイントを稼ぐことで、ランキングを急上昇させることも理論上では可能だ。
国内大会自体はすぐに準備できるのだが、問題はポイント稼ぎが他国との競争であること。ここに来て急激にランキングを上げている国の中には、そういった力技をすでに使ってるところもありそうだ。この点は日本サイドの手落ちと呼ぶべきもので、今年3月にFIBAセントラルボードで男女ともに出場国枠が内定した時点では、ランキングは男子が4位、女子が8位だった。この時点で「女子も4位に上げてほしい」という努力目標を伝えられていたという。これを受けて女子はこの夏、多くの国際大会に出場したが、逆にランキングを落とす結果となっている。
予選突破のためのチーム強化とリーグの両立は可能か
今月中にFIBAランキングを4位まで押し上げることができなかった場合、今度は予選突破のためのチーム強化が急務となる。開催国枠があったとしてもチーム強化の必要性に変わりはないが、タイムリミットが来年3月という点が異なる。
女子はこの春から夏にかけての代表活動を、Wリーグの選手を主体にして行ってきた。この方針で行くとしたら、Wリーグのシーズン中に選手を代表に招集し、強化合宿やテストマッチを重ねていく必要がある。Wリーグのチームとしても想定外の話で、調整はそう簡単ではないだろう。
男子も同様で、小松昌弘や落合知也といった3×3メインの選手が軸になってはいるものの、Bリーグの選手も数多く代表選考の対象としてきた。どのようなメンバー構成でチームを強化していくか、早急に方針を固める必要がある。
11月1日の時点で、男女いずれかの代表チームは開催国枠でのオリンピック出場を決めるが、もう一方は厳しい現実に直面することになる。