折茂武彦

「人は誰かに必要とされると頑張れる」が原動力に

Bリーグの最年長選手である折茂武彦が昨日会見を開き、今シーズンに開幕する2019-20シーズンを最後に現役引退することを発表した。不惑を過ぎてもバスケットボールをプレーし続けた折茂が、49歳で迎えた『選手として27シーズン目』での決断を語った。

シューターの折茂は「衰え自体は40歳ごろから感じていました」と言うものの、卓越したシュートスキルと勝負強さで、チームの戦力であり続けてきた。実際、「練習は若い選手と同じ量をこなしていましたし、ついていけていた」と、体力の衰えが引退の理由だということを否定。

「自分の思いとして、責任を果たせたこと。今のバスケット界の状況やチームの状況を見た中で自然と決断ができました」と折茂は引退を決断した理由を語る。

「日本のバスケット界においても、八村選手、渡邊選手といった世界で戦える選手が出てきたり、日本代表も世界を向いてよい方向に向かっていますし、国内に関しても富樫選手のように、夢や希望を与えられる選手が出てきたことはよいことですし、レバンガ北海道にとってもチームが変わらなければいけない中、これからは若い選手がチームを引っ張っていかなければいけないと思っていたので、今シーズンでけじめをつけたいという思いがあり引退を決断しました」

折茂武彦

「最後まで得点にはこだわって強気にプレーする」

実業団の名門、トヨタ自動車でキャリアを過ごし、日本代表でも活躍した折茂が北海道に渡ったのは2007年、37歳の時のこと。キャリア晩年を新たなチームで、と思われてもおかしくないところだが、そこから折茂は今日までプレーを続け、チームが破綻した際には自ら費用を負担して新チームのレバンガ北海道を立ち上げ、『社長兼選手』という特殊な立場となった。

「2007年にプロ選手となり、第二のバスケ人生を始め、2011年からレバンガ北海道を設立し、今期で10期目を迎えます。本当に波乱万丈でした。北海道に来てからは苦しく、厳しく、孤独で、大変なバスケットボール人生であったと思いますが、北海道という地は自分にとって特別な場所であり、本当に人として成長させてもらった場所でした。振り返ってもあっという間のバスケ人生で、感謝という言葉だけでは表せられない喜びを与えてくれました。最後までチームの一員として、チームの勝利のために全力で戦っていきたいと思います」

実業団ではトップレベルの選手であってもファン不在で、誰かのためではなく自分本位だったという折茂は、北海道に来てプロ選手となったことで、ファンに求められ、後押しされる喜びを知った。「北海道に来て初めての開幕戦で、満員のファンに囲まれて試合ができたこと、それは今でも記憶に残っています」

「北海道に来て本当に良かった。これから北海道のために、少しでも恩返しができればと思います。チームを勝たせることができず、失望させてしまったことは何度もありましたが、常に必要としてくれました。人は誰かに必要とされると頑張れると思わせてくれたのが北海道でした」

開幕を直前に控えたこのタイミングでの引退発表は、これまで自分を応援してくれた全国のファンに最後のプレーを見てもらうため。「これまでがそうだったように、最後まで得点にはこだわって強気にプレーしていく」と折茂は最後のシーズンに向けた抱負を語った。

10月6日の開幕戦終了後にはアリーナでファンに向けて引退の挨拶が行われる。

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