町田瑠唯

「自分の役割はチームの流れ、リズムを作ること」

いよいよ始まるアジアカップは、チームとしての成熟度を高めるための貴重な実戦となる。そして、選手個々にとっては指揮官に自分の存在価値をアピールできる絶好の機会だ。東京オリンピックに向け、それぞれのポジションで序列が決まりつつある中、最も混沌しているのがポイントガードだ。

リオ五輪以降を見ると、2017年のアジアカップでは藤岡麻菜美がブレイクし、昨年のワールドカップで先発を務めたのは本橋菜子だ。そして今回のアジアカップで先発が濃厚となっているのは、8月末の国際強化試合、チャイニーズ・タイペイ戦でスタメンだった町田瑠唯だ。

「自分の役割としてチームの流れ、リズムを作ること。そこは意識してやりたい」と大会に向けて意気込む町田は、「今の自分のプレーを評価されていると思うので、自信を持ってやりたい」と続ける。

今回の代表は、渡嘉敷来夢の復帰に加え、2番ポジションに185cmの赤穂ひまわりをメインで起用することで大きくサイズアップする。オフェンスの舵取り役を担う町田は、特に2番で赤穂がプレーする効果に好感触を得ている。

「今まで、こちらにプラスでのミスマッチがなかった。それが2番で中にポジションを取れる、インサイドで勝負ができるミスマッチを作れる。ディフェンスができてリバウンドが取れる。それでいて大きいから走れないわけではないので、プラスが大きいです」

町田瑠唯

「代表で自分の存在感を高めたい」

リオ五輪では吉田亜沙美に次ぐ2番手を務めており、代表経験も豊富。指揮官トム・ホーバスが「町田はいつも町田」と語るように、その安定感を高く評価されているが、一方でワールドカップでは4試合すべてで10分以下のプレータイムに終わるなど、リオ五輪以降の国際大会で本領を発揮してはいない。だからこそ、今回のアジアカップは評価を確立するチャンスとなる。

ただ、吉田亜沙美が現役復帰を発表したことで、ポイントガード陣が今回のアジアカップで結果を残せなかった場合、「代表の司令塔はやはり吉田」という声が出て来かねない。

町田に吉田の復帰について聞くと、「リュウさん(吉田)のやってきた代表の経験や、プレーに対する周りの信頼度はとても大きいです。ただ、良い意味でリュウさんをあまり意識はしていないです」と淡々と語る。

また、こちらの「いくら実績があっても一度はコートを離れた選手に、すぐに序列で上に行かれたくない思いはあるか」との問いには、「別に絶対に私がとかいうのはないです」と答えるが、そこには秘めたる闘志もある。「でも、簡単に譲るつもりはないです。(代表争いの)トライアウトには負けないようにしたい」

これから東京オリンピックに向けてのメンバー争いはより激しさを増してくる。その中で、まず一歩先行するためには、アジアカップでしっかり結果を出すことが重要だ。「代表で自分の存在感を高めたい」との言葉通りのプレーを町田が実践できた時には、日本代表もチームとして確かな結果を残せているはずだ。