まだまだ障害は多いが「ワクワクしています」
かねてから公言していたNBA選手への夢に向かって、馬場雄大が大きな一歩を踏み出した。
今日、アルバルク東京が会見を開き、林邦彦社長が「NBAマーベリックスより正式なオファーがあり、トレーニングキャンプに参加することとなりました」と発表した。
今回のオファーは、NBAサマーリーグにマーベリックスの一員としてプレーした際の内容が評価されたもの。林社長によると、正式なコンタクトは8月の段階ですでにあり、そこからワールドカップ終了後に交渉が本格化した。ただ、現時点では「最終的な契約の内容については、合意していない部分がある。近日中には締結し、その際にはアルバルク東京からも発表していきたい」と細部の詰めが残っている状況だ。
馬場本人は、切望してきたNBA挑戦がより具体的になったことに「ワクワクしています」と高まる気持ちを隠さない。
もっとも、これで『NBAプレーヤー馬場雄大』の誕生と考えるのは時期尚早だ。マーベリックスのチーム編成を見ると、契約保証を結んでいる選手はすでに登録枠いっぱいの15名。さらに傘下のGリーグに籍を置きながらNBAチームにも日数限定で帯同できる2ウェイ契約の2枠も埋まっている。これから故障者が出たり、トレードが行われることでロースター枠、2ウェイ契約の枠に空きがでる可能性はゼロではない。選手の移動が活発なNBAは、明日に何が起こるか分からない世界だが、現実的にはGリーグのテキサス・レジェンズの一員として開幕を迎えることが濃厚だ。
「ダイナミックなプレーを披露できたら」
当然、まだまだ困難に直面するであろうことは馬場も理解している。ただ、我々が知っている通り、彼はどんな逆境にも立ち向かう強靭なメンタルがある。今回も自分の立場を把握しつつ「キャンプでの活躍次第でプレータイムはいくらでも獲得できます。壁が高ければ高いほど、自分を高められると思っています」と、力強く語る。
かつて「Bリーグから世界への道を切りひらく存在になりたいか」と尋ねた時、馬場はこう答えている。「それは正直、僕にとって任務とまではいかないですけど、自分に課せられたもの、求められているものだと思います。そういった開拓者になることを僕自身も望んでいます」
だからこそ今、馬場のように将来は海外でプレーしたい、という思いを抱きながら日本の大学でプレーする選手への思いを聞くと「不可能はないと伝えたいです」と語る。
「僕も日本の大学から今、この会見の場に座らせてもらっています。最初、NBA挑戦は漠然とした夢でした。その夢を言葉にして発したり、実現のために頑張ることで周りの方が動いてくださり、夢が目標になってきています。絶対、一つ自分の中で軸を持って、信念を持ってやることができれば不可能はないんだ。それを身をもって示したい。日本の大学界でプレーしている子たちにも大きな夢をもってやってほしいというのがメッセージです」
最後に「ダイナミックなプレーをアメリカのコートで披露できたらと思っています」と馬場は渡米への意気込みを語った。BリーグからNBA選手へ、馬場が日本バスケ界の新たなパイオニアとなるための壮大な挑戦がいよいよ本格的にスタートする。