シェーファー・アヴィ幸樹

「常に気を張っていても、プレーをするのが難しかった」

日本代表が21年ぶりに自力出場を果たしたバスケワールドカップ。成績は5戦5敗と悔しさが残る大会となったが、初めて世界と戦ったことで収穫も多かった。

八村塁とともにチーム最年少のシェーファー・アヴィ幸樹は、出場2試合、プレータイムわずか11分で大会を終えた。帰国した際、本人も「あまりプレータイムをもらえなかったので、そういう意味でも悔しさはすごくある」と語る。

それでも、目の前で世界のバスケットを見て体感したことはシェーファーにとって大きな経験になった。「ちょっと集中を切らしたらすぐに持って行かれてまって。むしろ常に気を張っていても、プレーをするのが難しかったです。ちょっとしたオープンシュートの精度だとか、リバウンドの強さ、ルーズボールの強さ、そういう細かい部分ですごく差があったので、僕自身もそれは足りていないし、ベンチから見ていてチーム全体としても足りていないと感じました」

さらに今回の大会で特に感じたことが、自身のメンタル面の弱さだという。試合中は常に、このタイミングでヘッドコーチから呼ばれたら自分はどんなプレーをしてチームに貢献するか、ということを考えるが「今ここで出ても何もできない、と感じたことがあった」と明かし、「そういう考えになっている時点でダメだと思うので、まずは自信をつけてメンタル面を強くしたい」と、強いメンタルを作るためにも実績を積み重ねる必要があると語る。

シェーファー・アヴィ幸樹

「とにかく経験が足りないのが現状」

揺らがない自信を作るには、とにかく実戦の経験を積んでいくしかない。「僕はプレータイムを代表でも所属チームでももらっていなかったので、とにかく経験が足りないのが現状です。今シーズンはとにかくプレータイムをもらって、上手くなることが不可欠です」

それでも、ジョーンズカップの合宿から始まってワールドカップまで戦い抜いた長い代表活動を終え、空港で解散するというタイミング。「今、何が一番したいか」を問うと、「すぐに練習をしたい。僕はプレータイムも短くて悔しさしかないので、この悔しさをぶつけてとにかく早く練習をしたいです」と笑顔で話した。

12名という限られた選手しかいないにもかかわらずローテーションに組み込まれず、シェーファーにとっては自分の実力不足を痛感させられる大会となった。ただ、フリオ・ラマスを始めとした代表のスタッフは、今後も見据えた代表強化を考えて、将来有望なシェーファーに貴重な1枠を使って世界のレベルを経験させた。「東京オリンピックが来年に控えているので、それまでにレベルアップをしないといけないとあらためて感じた」と本人が言うように、今回の経験を糧に、若い彼は誰よりも成長しなければならない。

実際、すぐにシェーファーは今シーズンにレンタル移籍でプレーする滋賀レイクスターズに合流。オフを取ることなく今日のアーリーカップから試合に出場する。様々な困難が彼の行く先に待ち構えているだろうが、すべてを乗り越えて急成長する姿を、Bリーグのシーズンで見せてもらいたい。