昨シーズンの新潟アルビレックスBBは、中地区王者としてチャンピオンシップへと駒を進めた。1試合平均27.6得点で得点王になったリーグ最強外国籍選手、ダバンテ・ガードナーの存在感が大きかったのはもちろんだが、長いシーズンで安定した力を発揮できたのは、ポイントガードにしてチームリーダーの五十嵐圭の働きも大きい。39歳になってもシャープな動きとバスケIQ、そして自分で勝負を決めに行く強心臓は健在。シーズン終了後には、柏木真介とのコンビで『レギュラーシーズンMIP』としてリーグから表彰も受けた。ガードナーの抜けたシーズン、その穴を埋めるのではなく「全く新しい新潟アルビレックスBBを作る」と、五十嵐は意気込む。
「経験を新しい形でこのシーズンに出していけるように」
──絶対的なスコアラーだったガードナー選手が抜けて、開幕に向けた準備が今まで以上に大切になると思います。五十嵐選手としては、チームはどうあるべきだと思いますか?
全く新しいチームに変わらなければいけないと思っています。ガードナー選手の移籍は僕個人としてもすごく大きなことだし、もちろんチームとしてもこの3年間は彼を中心に作ってきたので、その穴をどう埋めるかが課題になります。それでも新しい外国籍選手は入っているし、それ以外はほとんど入れ替わりがなかったので、そういう意味では日本人選手のコミュニケーションを外国籍選手まで繋げたいと思います。
新加入の選手については、ガードナー選手の仕事を代わりにやってもらうとは全く考えていません。そういう意味で新しい新潟アルビレックスBBを作っていきたいと思っています。これまで彼に頼りすぎていた部分が正直あったので。昨シーズンにいろんな経験をした選手たちが残っているので、その経験を新しい形でこのシーズンに出していけるようにしたいです。
──ガードナー選手の後釜として加入したニック・パーキンズ選手をどう見ていますか。
今回、パーキンズ選手は大学を卒業してプロキャリアをスタートさせます。まだ合流して間もないので、これからプレシーズンゲームや国際試合で彼の良いところ悪いところを把握しながら、時間はかかると思いますけど、良いところを特に伸ばしていけるようにやっていきます。
──五十嵐選手と柏木真介選手、鵜澤潤選手、池田雄一選手と、新潟のベテランは安定した力を出せますが、その一方でチームとしてブレイクするには若手の成長が欠かせませんね。
この夏にも若い選手たちは韓国に合宿に行ったりだとか、積極的にトレーニングに励んでいて、そういった姿を見ているので、その努力をこのシーズンに生かしてほしいです。もちろん彼らが頑張って底上げするだけじゃなく、自分たちも若い選手から刺激をもらって、若手に負けない気持ちでやるので、そこで相乗効果が生まれればいいと思います。
「ガードナーがいなくなったら弱いとは言われたくない」
──個人としては、新シーズンに向けた目標やテーマをどう設定していますか?
ガードナー選手を中心に作ってきたチームを解体して新しいチームを作らなきゃならないので、今までと同じように自分がコートに立てば引っ張っていく思いを持ってやっていきます。数字の部分で言えば毎試合15得点を目標にしている中で、ここ3シーズンは達成できていないので、そこを上げることでチームの失った部分を埋めていきたいです。これまで以上に得点を意識して臨んでいきたいです。
──アーリーカップがあり、マカオでの国際大会『テリフィック12』にも参戦します。
そうですね。ここからは試合が入ってくるので、特に新しい外国籍選手の動きを見ながら、一つひとつ試合を重ねてチームを作っていきます。もちろんどの試合でも勝ちにはこだわりますが、チームを成長させて長いシーズンに備える大事な期間になります。
──チームとして、昨シーズンの中地区王者という意識はもう持たないですか?
全くないですね。昨シーズンの結果は過去のもので、昨シーズンにこうだったから、という意識はありません。ただ、昨シーズンは自分たちにそこまで行く力があるんだと気付くことができました。やっぱり「ガードナーがいなくなったら弱い」とは言われたくないので。そういった意味でも新しいスタートです。
リーグ最多のシュート試投数1102をチームでシェア
五十嵐がインタビュー中で語った通り、Bリーグになってからの3シーズン、新潟は『ガードナーのチーム』だった。西宮ストークスから加入した25歳のガードナーは、3年間で右肩上がりに得点能力が向上。過去2シーズン連続でB1得点王となり、昨シーズンにはベスト5にも選出された。「いかにガードナーに良い形でボールを預けるか」が新潟の最優先事項であり、その質を高めることで昨シーズンは中地区優勝を果たした。そのガードナーが抜けた穴を一人で埋めるのは不可能。チーム全体でどれだけステップアップできるかがカギとなる。ガードナーが昨シーズンに放ったシュート総数はリーグ最多の1102。これをチームでシェアするようになれば、全員にチャンスが増える。そのシステムをどう作り、どう機能させるか。五十嵐の言う「全く新しい新潟アルビレックスBB」はどんな形になるのだろうか。開幕戦はアウェーで、昨シーズンのチャンピオンシップで当たった因縁の相手、アルバルク東京に挑む。
新潟アルビレックスBB 2019-20シーズン 登録選手一覧
3 柏木真介(PG 183cm83kg)
7 五十嵐圭(PG 180cm73kg)
10 高橋浩平(PF 198cm103kg)
11 鵜澤潤(PF 196cm103kg)
14 石井峻平(SG 187cm80kg)
18 森井健太(PG 178cm77kg)
22 上江田勇樹(SG・SF 193cm87kg)
30 今村佳太(SG・SF 191cm92kg)
32 池田雄一(SF 191cm93kg)
33 ニック・パーキンズ(PF 203cm103kg/外国籍)
34 ラモント・ハミルトン(PF・C 208cm116kg/外国籍)