文・写真=鈴木栄一

新シーズンに向け川崎ブレイブサンダースが始動

7月17日、川崎ブレイブサンダースが新シーズンのチーム初練習をメディアに公開した。練習終了後に取材に応じた北卓也ヘッドコーチは、現段階のチーム練習における目的をこう語る。「基本的なことであり、正確なプレーを身につけてほしいです。また、この時期は身体作りがメインとなります」

この日の練習には篠山竜青、辻直人、野本建吾、ニック・ファジーカスを除く7選手が参加。小澤智将、ジュフ・バンバの新戦力2人については、次のように見ている。

「チームのルールについては、ずっといる選手が多いのでアドバイスしてくれています。バンバは、昨シーズン途中から練習生として参加していますし、全員が揃った時、しっかり頭の中に入っていてくれていればと思います」

「小澤は大学時代のプレーを見ていますが、(チームに加入後は今回)初めてプレーを見ました。どれくらいできるのか。どういう使い方をすればいいのか、他の選手との組み合わせを見ながら考えています」

また、外国籍枠での登録となるが、延岡学園高校から拓殖大学と日本でのプレー経験も長く、大学1年から3年までインカレで得点王、3ポイントシュート王、リバウンド王と3年連続3冠王(4年次のインカレは故障で欠場)のバンバについては、「3番(スモールフォワード)か、4番(パワーフォワード)で使いたいと思っています」と続けている。

「厳しいカンファレンスには間違いなくなります」

オフシーズンについて、「体制も含め、何も考えず1カ月くらいは過ごしたいですが、そうはいかないです。週末はゆっくり休んでリフレッシュできましたが、意図的にバスケットボールから離れたいと思ってもできなかったです」と笑う北だが、それも川崎にとっては2つの大きな出来事があったことを考えれば致し方ないだろう。

まず、所属する地区が中地区から東地区へと移動。その結果、アルバルク東京、千葉ジェッツ、栃木ブレックス、サンロッカーズ渋谷と昨季チャンピオンシップに出場した4チームと同じ激戦区で戦うことになる。

「噂もあって、そうなることかと予想はしていましたが、ひっくり変えらないかと期待をしていたところもありました。ただ、これはルールであり、準備をするだけです。他のチームで移籍があったり、外国籍選手が変わったりしているので、どうなるのかまだまだ分からないです。ただ、厳しいカンファレンスには間違いなくなります」

大差で優勝した昨シーズンのような展開にはならないと覚悟している指揮官だが、一方で過酷な条件からこそ得られるものがあると考えている。「逆に厳しい地区だからこそ、たくさんお客さんが入りやすくなる。そこで良いプレーを見せれば、もっと人気のあるチームになれる。プラスにとらえていきたいです」

「いなくなった人のことを思っていても仕方がない」

そして、もう一つの大きな事柄はジュフ磨々道の引退、永吉佑也の京都ハンナリーズへの移籍と、オン・ザ・コート「1」の時間帯を担うパワーフォワード2人がチームを去ったことだ。

「マドゥの存在は大きかった。帰化選手の部分での強みがなくなったところは、ちょっとうーんというところはあります。ただ、いなくなった人のことを思っていても仕方がない。鎌田(裕也)がいますし、相手によっては野本も起用することになってくると思います」

また、自チームだけでなくリーグ全体において印象に残った点について「琉球ですね」と北は言う。「優勝チームから2人(古川孝敏、須田侑太郎)を獲得していますから。リーグ全体を見ても本当にビッグクラブというか、お金のあるクラブがありますので、これから補強で大変になってくる。良い選手を移籍で取るには、ビッグクラブが有利なのかなと。それだけに、良い選手を自分たちで育てていくことにより力を入れていきたいと僕は思っています。ただ、そこのバランスを決めるのは私ではなく社長になりますが(笑)」

課題もあるが、シーズンMVPのニック・ファジーカスを筆頭に多くの主力が健在の川崎が、新シーズンも引き続き優勝候補の一角としてシーズンを迎えることは間違いない。そして、オン・ザ・コート「1」における日本人ビッグマンの起用法など、北がどんなチームを仕上げてくるのか楽しみに待ちたい。