膝の不調と疲労を抱え、順位決定戦の欠場が決定
世界の壁は想像以上に高かった。ワールドカップの1次リーグ最終戦となったアメリカ戦、日本代表は序盤から圧倒的な実力差を見せつけられ、45-98の大敗を喫した。
個人能力で唯一対抗できると思われた八村塁も、日本代表での最低得点となる4得点と封じられた。八村は「できたことはあったし、できる限りのことをやった。ディフェンスもオフェンスも反省点。ディフェンスやリバウンドはあらためて大事だと感じました」と、試合を振り返る。
八村がそう言うように、リバウンドは33-58と大きく下回った。特にオフェンスリバウンドでは8-20と2倍以上の差がついた。相手がシュートを落としてもオフェンスリバウンドを拾われ、そこから得点を重ねられたことは精神的にもダメージが大きく、チームとしてどれだけ奮闘しても流れを引き寄せられない要因となった。
それでも八村は、「僕らがずっと強化してきたアグレッシブなディフェンスができたのではないか」と話す。自由を与えないように愚直にプレッシャーを掛け続けた結果、41本の3ポイントシュートを打たれたが、それは「インサイドを守る」という指示を遂行した結果だ。
それでも、どんな理由をつけたところで、スコアが示す通り力の差は歴然だった。ただそれは、日本にだけ言えることではなく、アジア全体のレベルを指す。アジア勢はすべて1次リーグ敗退となったのだ。
「結果を見ても分かるように、アジアは上のラウンドに行けずに落ちてしまった。アジアの今のバスケは世界に通用しない、弱い地域になっていると思います。僕ら日本を含めて、アジアのバスケを盛り上げていきたい」と、八村はアジア全体の底上げの必要性を訴えた。
「自分自身にとって、とても難しい決断でした」
「世界1位のチームがどれだけのものかを感じることができたのは良かった。来年にはオリンピックもあり、アメリカのような強いチームと対戦した経験がこれから繋がっていくと思う」。このコメントとともに、八村はワールドカップのコートを降りることになる。
今日、日本バスケットボール協会はリリースを発表。膝の不調と疲労を抱えていること、またウィザーズでのトレーニングキャンプに向けて休養が必要だとして、順位決定戦の2試合に八村が欠場する決定が下された。
「自分は、チームジャパンが大好きです。今回の決断はウィザーズ、日本チーム、そして自分自身にとって、とても難しい決断でした。体調は様子を見ている段階ですが、ウィザーズ・日本チームともに、NBAシーズンそして東京2020オリンピックに向けて、僕がベストな状態になれるよう最大限の協力をしてくれると信じています。応援してくださっている方々には、引き続き、自分や日本チームを応援してくださるよう、お願いします」
東京オリンピックに向けた強化の意味では、順位決定戦ではあれワールドカップという公式戦で八村がプレーすることは間違いなく重要だ。それでも、あと4日間、2試合をプレーするのが難しいほど厳しい状況だったからこそ、この判断が下されたのだろう。日本の『希望』も万能ではなく、ギリギリでの戦いを強いられていた。若い八村に挽回の機会はいくらでもある。次の飛躍に向けた準備は、すぐに始まる。