サンロッカーズ渋谷は大黒柱のロバート・サクレが突然の現役引退を発表し、長年チームを支えた中軸選手が多数移籍した。それでも、石井講祐を筆頭に主力級の選手を獲得するチーム再編により戦力はアップしたと見ていいだろう。ベンドラメ礼生は日本代表の一員としてワールドカップ出場を目指していたが、最後の最後で落選。それでもすぐに気持ちを切り替え、新キャプテンに任命されたSR渋谷での活躍を誓う。ティップオフカンファレンスでその意気込みを聞いた。
「一人ひとりにリーダーシップを持ってほしい」
──新シーズンではキャプテンを任されました。何か気持ちの変化などはありますか?
キャプテンになったことでの変化は特にありません。これは僕の持論ですが、プロなのにキャプテンが言わないとまとまらないチームでは勝てません。投げやりな感じに見えるかもしれませんが、一人ひとりにリーダーシップを持ってほしいという思いがあります。
──こうした考えはずっと持っていたのですか?
学生時代を含め、強いチームを選んでいくうちにそう考えるようになりました。モチベーションの低い選手はどこにもいて、自分がキャプテンの時はそれを引っ張ろうと声を掛けてきました。でもプロであれば一人ひとりが結果を出せなければすぐにクビが切られるくらいの気持ちでやっていくべきだと思うし、もっとシビアになっていくべきだと思うんです。
プロ選手になることを目標にするのは良いのですが、目標を達成して熱をなくしている選手もいます。主力じゃなくてもプロでいられるし、簡単にクビにはならないですから。でも、そういう選手はプロになる前と比べてモチベーションが下がって、ただ練習をこなしているだけになってしまいます。日本代表を目指していない選手は多いですが、子供たちの夢であるプロ選手は全員が日本代表を目指すべきだと思っています。それぐらい高いモチベーションで全員がやっていけば、日本のバスケットも強くなって面白くなっていくし、プロ選手の価値も上がるはずです。
──確かに、それが代表のレベルを上げる大きな要因にもなりそうですね。
海外に行けば負けず嫌いの選手しかいないですし、渡邊雄太や八村塁のマインドは完全に海外のものです。渡邊選手は練習でも負けたら悔しがるし、本気で怒ります。そういう気持ちが大切なんだなと思います。
ウイングの補強に成功し、ポイントガードに専念
──新チームについてお聞きします。千葉ジェッツから石井選手を獲得するなど、良い補強ができたと思いますが、それだけ結果を出さないといけないプレッシャーがあるのでは?
期待されるのがプロなので、その期待に応えたいと思うだけで、プレッシャーにはならないですね。杉浦(佑成)選手は3×3で力をつけてますし、石井選手や田渡(修人)選手も入って強化できているので、ウィングの得点力が伸びそうです。僕は1番に専念しようと思います。
──昨シーズンはチーム事情から2番起用が多かったですが、日本代表を見据えるとポイントガードとしてプレーしたいですよね。
そうですね。日本代表では自分らしいプレーができないまま終わってしまったので。インサイドが強くなった中で、アグレッシブさが必要なのか、それともパスを回すべきか、ガードの仕事は何かと考えてきました。でも、ポイントガードとしてやってきた選手と比べて、「レオはまだ経験が足りない」と、(フリオ)ラマスヘッドコーチから言われましたし、確かにそうだと思ったので。ここからは僕のアグレッシブさを出していきたいです。
──戦力は整っただけにあとはケミストリー次第といったところでしょうか?
まだ何とも言えないんですけど、上手く行けば間違いなく良いチームになると思います。
──最後にSR渋谷のキャプテンとして、ファンへメッセージをお願いします。
今、代表のバスケットが熱くなっていて、僕もその中で感じることはたくさんあったし、ファンの熱い声援がすごい力になりました。そんな声援がもらえるように、それをモチベーションにして、会場に来たSR渋谷のファンに喜んでもらえるように頑張っていきます。
サクレ引退の戦力ダウンをどう埋めるかがカギ
2018-19シーズンのサンロッカーズ渋谷はケガに泣かされる1年を過ごした。ロバート・サクレ、ライアン・ケリー、ベンドラメ礼生がチームを支え、特別指定で加入した盛實海翔がフレッシュな活躍を見せたが、シーズン終盤の勝負どころで山内盛久、広瀬健太がケガで離脱。ラスト5試合を東地区の3強相手に全敗、チャンピオンシップ争いから脱落し、27勝33敗と過去3シーズンで最低の成績に終わった。これを受けて今オフにはチーム刷新に踏み切り、生え抜きの伊藤駿と満原優樹を放出。石井講祐に野口大介と、チーム優先でハードワークできる選手を獲得した。ところが誤算だったのはサクレの突然の引退表明。後釜となるセバスチャン・サイズ、チャールズ・ジャクソンをサクレのレベルまでチームに順応させるには時間が必要で、日本人選手にも新加入選手が多いだけに、ケミストリーの出来上がっていないシーズン序盤の戦いぶりが重要となる。開幕戦はホームで千葉ジェッツ、続いて敵地でアルバルク東京。この4連戦をどう乗り切るかがカギになりそうだ。
サンロッカーズ渋谷 2019-20シーズン 登録選手一覧
1 関野剛平(SG・SF 183cm80kg)
2 セバスチャン・サイズ(PF・C 205cm106kg/外国籍)
3 ファイ・サンバ(C 205cm105kg/帰化)
9 ベンドラメ礼生(PG 183cm83kg)
10 チャールズ・ジャクソン(C 208cm102kg/外国籍)
14 杉浦佑成(SF 196cm95kg)
16 渡辺竜之佑(PG・SG 189cm90kg)
23 野口大介(PF 196cm90kg)
24 広瀬健太(SF 193cm90kg)
27 石井講祐(SG 182cm78kg)
32 山内盛久(PG・SG 175cm75kg)
34 ライアン・ケリー(SF・PF 211cm104kg/外国籍)
73 田渡修人(SG 185cm79kg)