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近年は本領発揮ならずもバスケットIQは健在

ラジョン・ロンドがペリカンズとの1年契約に合意したと『The Vertical』が伝えている。両者は先週に2度のミーティングを行って基本合意に至り、今週に正式発表となる見込み。

ロンドは『コート上の指揮官』と呼ばれるバスケットIQの高いポイントガード。NBA2年目の2007-08シーズンにセルティックスの優勝に貢献し、その後も長くアシストマシーンとして、そしてリーグ屈指の守れるポイントガードとして活躍した。

しかし、右ひざの靭帯断裂の大ケガを負った2013年1月からそのキャリアは下降線をたどる。2014-15シーズン途中にトレードでセルティックスを離れた後は、マーベリックス、キングス、ブルズと渡り歩くも本領発揮には至っていない。キングスでプレーした2015-16シーズンにはリーグトップの平均11.7アシストを記録しており、卓越したアシストセンスは健在だが、ケガが多くてシーズンを通してプレーできず、チーム内でのトラブルもしばしば起こした。

マブスではリック・カーライルと衝突して出場機会を失い、ブルズでもフレッド・ホイバーグと衝突して一時期は試合から外された。ブルズではさらに若手の姿勢を批判したドウェイン・ウェイドとジミー・バトラーに対し「リーダーシップにこそ問題がある」と指摘。正論ではあるがチームに不協和音をもたらす言動で、『扱いづらい選手』の印象が付いたのは事実だ。

ただ、ロンドはチームの勝利に対して強い執着心を持つ選手であって、ワガママなスターではない。31歳になった今、いつまでも敗者に甘んじるつもりもないだろう。

ペリカンズは昨シーズン途中にデマーカス・カズンズを獲得。アンソニー・デイビスとの最強フロントコート・デュオを完成させたものの、チーム成績は上向かずにプレーオフ進出を逃した。今オフの補強ポイントは間違いなくこのデュオを使いこなすポイントガード。デイビスもカズンズもケンタッキー大の後輩であり、『悪童』として知られるカズンズもキングス時代に一緒にプレーして、バスケットボールを熟知するロンドに一目置いている。

さらに、これまでポイントガードを務めたドリュー・ホリデーはゲームコントロールよりもシュートを得意とする選手で、ロンド加入によりシューティングガードに回ることに問題はない。

戦力は整った。あとはヘッドコーチのアルビン・ジェントリーが強烈な個性をいかにまとめるか、その手腕が問われる。