富樫勇樹

富樫勇樹は代表合宿中に右手第4中手骨を骨折し、ワールドカップ出場は叶わなかった。日本代表に懸ける思いは人一倍強く、その悔しさは計り知れないが、先週行われたBリーグのティップオフカンファレンスでは元気な姿を見せ、いつもと変わらない様子で取材に応じた。優れた選手は気持ちの切り替えが早いもの。すでに意識は千葉ジェッツで迎えるBリーグでの4年目に向かっている。そんな富樫に、新シーズンに向けた『千葉の変化』を聞いた。

スタメンが2人抜け「みんなアピールでイキイキ」

──千葉はBリーグになってからの3シーズン、継続路線で結果を出してきました。それでも今オフは大幅に選手が入れ替わっています。今シーズンの千葉は何が変わるのでしょうか?

メンバーは皆さんが想像していた以上に変わったと思います。外国籍選手もビッグマン3人で、練習を見ていてもその3人が活躍しないと出られないという危機感を持っています。そういう意味では練習の強度がすごく高くなっています。昨シーズンのスタメン2人が抜けて、そこを埋める争いもあります。このプレシーズンの試合で活躍すればスタメン、そうでなくても多くのチャンスを最初にもらえる感じになるので、みんなアピールでイキイキしているというのが外から見ての印象です。

──スタメン2人、石井講祐選手とアキ・チェンバース選手が抜けてチームが変わります。ポイントガードの富樫選手としては、こう変えなければいけない、変えていきたいというイメージはありますか?

彼ら2人がいた昨シーズンは、レギュラーシーズンから10連勝が3回、それより小さい連勝も含めて何度も繰り返してきて、ちょっと出来すぎだと思うぐらいの成績でした。対戦相手で見ても、4チーム(川崎、栃木、琉球、A東京)にしか負けなかったというのは、かなりすごいことだと思っています。だからこそ、昨シーズンとはあまり比べずにやっていきたいと思っています。

昨シーズンより強いか弱いかじゃなく、成績が良すぎただけにそこを気にせず、だからといって昨シーズンより落ちるのも良くないので、また新たなシーズンとして切り替えて、このチームで一から作り上げていきたいです。

──周囲は『千葉は変わった』と見るでしょうか、そこをあまり意識するつもりはない?

いいんじゃないですか。実際、あのメンバーで優勝できなかったのは事実なので。そこにまた新しいチームで挑みます。特にコー・フリッピン選手は見ていて面白いです。本当にポテンシャルのある選手だし、このリーグになかなかいないタイプの選手なので楽しみですね。

──ジョーンズカップで見たフリッピン選手はドライブを得意とするコンボガードで、富樫選手と1番2番で組んだらどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみです。

千葉が欲していたのはシューターではなくてハンドラーでした。ドライブできて、そこからのアシストもできる選手がもう一人欲しかった。アルバルクで言うと田中(大貴)、馬場(雄大)、安藤(誓哉)とボールハンドリングができて、ピックからいろいろできる選手が多かったです。千葉では自分と西村(文男)選手の2人がその役割を担っていて、そこにもう1人加わるわけですから、そこはすごくプラスだと感じています。

千葉ジェッツ

スタイルは不変、マイナーチェンジで優勝を目指す

昨シーズンの千葉ジェッツは天皇杯3連覇を成し遂げ、レギュラーシーズン52勝8敗とB1における最高勝率を叩き出した。粘り強いディフェンスから、ボールを奪うと富樫を中心に素早い攻めへと移行する、守備から攻めの切り替えの速さ、またコアメンバーがBリーグスタートから3シーズン変わらない連携を武器に、完成度の高いバスケットを披露。新シーズンは大野篤史ヘッドコーチ体制4年目となり、富樫を軸としたスピーディーで抜け目のないバスケットは変わらない。それでもコアメンバーを入れ替え、変化をもたらしてBリーグ初優勝を狙う。千葉ジェッツのシーズンは10月5日(土)、青学記念館でのサンロッカーズ渋谷との一戦で幕を開ける。

千葉ジェッツ 2019-20シーズン 登録選手一覧

1 ジョシュ・ダンカン(PF 205cm111kg/外国籍)
2 富樫勇樹(PG 167cm65kg)
3 マイケル・パーカー(PF 200cm102kg/帰化)
4 コー・フリッピン(PG・SG 190cm75kg)
5 田口成浩(SG 184cm84kg)
7 晴山ケビン(SF 191cm93kg)
8 大宮宏正(PF 197cm99kg)
10 ニック・メイヨ(PF 206cm113kg/外国籍)
11 西村文男(PG 177cm72kg)
15 藤永佳昭(PG 173cm70kg)
21 ギャビン・エドワーズ(PF 206cm110kg/外国籍)
31 原修太(SG・SF 187cm96kg)
34 小野龍猛(SF 197cm97kg)