浜松開誠館(静岡県)は今夏のインターハイでベスト8進出と結果を残しました。そのチームでは、入学から間もない1年生が5人ベンチ入り。小長井優空選手、佐藤ひまり選手、半田陽菜乃選手、竹田花梨選手、谷村帆香選手という5人全員が、出場機会を得てアグレッシブなプレーを見せました。

小長井選手は浜松開誠館中、佐藤選手と半田選手は四日市メリノール学院中、竹田選手は相模女子大学中の出身と、いわゆる『中学での実績』がある選手。この中で谷村選手だけがそれがありません。谷村選手は「中2までは県の東部大会のベスト8が最高成績で、中3で初めて県大会に出場したのですが、1回戦負けです」と、地元の富士市でプレーしていた中学校時代を振り返ります。

それでも浜松開誠館を率いる三島正敬コーチは「面白い選手です。ずっとスタメンで使っています」と、彼女のポテンシャルに大きな信頼を寄せます。1年生5人を起用するとは言っても、上級生の安定感は大きいもので、スタメンで起用されている1年生は谷村選手一人だけです。

10月12日(月)に行われた「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン2 グループD」の鵠沼(神奈川県)戦でも、この5人はメンバーに入り、谷村選手は先発センターに起用されました。その谷村選手は、技術的にはまだまだ粗削り。オフェンスでパスが回ってくることは少なく、ボールを受けてもすぐ次の選手へとパスを回し、オンボールで仕事をする機会はほとんどありません。

それでも谷村選手はずっとオフボールで動き続け、チームのためにありとあらゆる仕事をこなします。180cmの長身とウイングスパン、そして細身でも機動力があり、スイッチしてガードを守ってもスピードに対応できるのが彼女の持ち味。スクリーンを掛けてロールし、相手のビッグマンを外へ連れ出し、カットし、ディフェンスとリバウンドで粘り強く戦います。

「普段からすごく助けてもらっているので、チームのために自分にできるプレーをとにかく一生懸命やろうと思っています。自分に何ができるかと言ったらリバウンドです。私にはハンドリングの力も自分で攻める力もないので、とにかくリバウンドで頑張るという気持ちでコートに立っています。オフェンスでは得点力のあるチームメートがシュートを打ちやすいように、私が道を作ります」

チームメートがドライブでリングを攻める時、谷村選手は相手ビッグマンを背負ってヘルプに行かせません。単純なパワー勝負ではなく機動力で相手の前に入ることで、ボールに触れることなくイージーなシュートを『アシスト』します。

谷村選手は浜松開誠館の練習見学に行った際、その雰囲気に一目惚れしたと言います。「体育館に入る時は緊張していましたが、練習参加させてもらったらすごく楽しかったです。みんなが同じ目標に向かって全力でバスケをやる、それを楽しむという環境が私の周りにはなかったので、『ここでやりたい!』と思いました」

中学の時は1日1時間の練習が週に何回かという部活だっただけに、全国レベルのチームに来たことで驚くことはたくさんあります。「練習量も強度も違うし、今までは休みだった土日にいろんなところに行って練習試合をしたり、今まで経験していないことが一気にドーンと来て、頭が追い付かないと思う時もあります。試合のレベルも上がって大変ですけど、めっちゃ楽しいです」

ボールを持って自分から仕掛けるようなプレーもこれから習得していくべきでしょうが、谷村選手はそこも前向きです。「コーチも先輩たちも『どんどん攻めていいよ、行けるよ』と言ってくれるのですが、まだ私は自信が持てずに引いてしまうところがあります。でも、私が攻めれば攻撃の選択肢も増えます。一回はチャレンジしてみる、というつもりでプレーしたいです」

「自分にできることでチームに貢献しようという気持ちは変わりません。今やっている仕事を全力でこなしながら、自分で攻める積極性も出していって、自信を持てるようになるのがこのリーグでの目標です」

浜松開誠館は「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン2 グループD」でここまで5戦全勝。次の試合は11月まで間が空きますが、谷村選手を含め浜松開誠館の1年生たちは少年女子の静岡県代表として国民スポーツ大会にも出場します。すべての経験を力に変えて、彼女たちはこの秋に大きく成長しようとしています。

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