停滞する戦況を一変させるプレーで勝利に貢献

秋田ノーザンハピネッツは10月17日にホーム、CNAアリーナ☆あきたで信州ブレイブウォリアーズと対戦。102-95とハイスコアゲームを制し、ホーム初勝利を飾った。

試合終盤まで勝敗がどちらに転ぶかわからない展開での勝利に、秋田ブースターの『クレイジーピンク』は喜びを爆発させた。そして、彼らが最も沸いたのは今シーズン初出場を果たした中山拓哉がコートに立った瞬間だった。

中山は秋田一筋11シーズン目を迎えたポイントガードで、昨シーズンは58試合に出場し平均29分26秒のプレータイムでキャリアハイとなる8.8得点をマークした。しかし、チームは主力の故障離脱が相次いだこともあり、10勝50敗と厳しいシーズンを送った。8月に全治未定の左膝骨挫傷を負うと、Bプレミアの開幕に間に合わず、中山不在のチームはここまで2勝4敗と負け越していた。

そして満を持して挑んだ信州戦で中山は、第1クォーター残り4分11秒に大歓声の中コートに立つと、すぐにペイントアタックから外角で待つトロイ・マーフィージュニアにパスを送りアシストを記録。その後も1分半の間に2本の3ポイントシュートをお膳立てして、こう着状態を一変させた。第2クォーターには2本の長距離砲を決め、8分2秒の出場とプレータイム制限があった中で11得点5アシストを記録し、チームの勝利に貢献した。

ミック・ダウナーヘッドコーチは「あまり自分にプレッシャーをかけず、コートに戻ってきたことを楽しんでこい」との言葉を中山に送ったという。そして、コートに立ったその時の心境を中山はこう語る。「すごくうれしかったです。やっと戻ってこれたという気持ちもありましたし、1本目のシュートが決まった時は安心しました。本当に感謝です」

生産性の高いパフォーマンスを見せたが、今回の活躍は単なる偶然では無い。これまでベンチで過ごしていた中山は、試合展開を観察することを怠らず、自らが出場した時にどうやってチームを助けられるかを考えていた。

「マーク・スミス選手が一人でやらなきゃいけない時間帯がすごく大変そうでした。やっぱりあの時間帯をより少なくして、彼のパフォーマンスを上げるサポートをしたいと思っていました。シュートを打つことはもちろん、僕がクリエイトすればボールも今より回ると考えていました」

今シーズンのBプレミアは外国籍選手の出場制限を撤廃するオン・ザ・コートフリーとなり、秋田は得点源としてポイントガード兼シューティングガードのスミスを獲得。ここまで平均20.8得点、6.3アシスト(10月16日時点)と文字通り得点面でチームを牽引してきた。しかし、スミスの負担が大きかったことも確かで、だからこそ今日の中山のオフェンスでの貢献は理想に近いプレーだった。

中山も、今日の3本の3ポイントシュート成功は上振れているとハニカミながらも、外国籍選手に頼りすぎないことが重要と説いた。「シュートを打つことは日本人もやり続けなくてはいけません。今日はスミス選手だったり(ヤニー)ウェッツェル選手が30点近く取っていますが、頼りすぎないようにやっていくことでチームとして、より良くなっていくと思うので責任を持ってやっていきたいです」

そしてディフェンス面についてもまだ課題があると言う。「チームルールはある程度理解している中で、僕がちょっとオーバーヘルプに行ってしまったこともあったので、そこはしっかりアジャストしていきたいです。それに95失点は僕たちのやりたいバスケットではありません。チームとしてどうやって抑えていくかは課題の一つです」。

まだまだ課題は山積みだが、中山の復帰はチームを好転させている。ダウナーヘッドコーチも今日だけはその課題にフォーカスするよりも、中山の復帰を喜びながら会見場を後にした。「今日の彼の活躍は本当に素晴らしかった。チームに戻ってきてくれて心から喜んでいますよ」

プレータイムの制限が外れ、完全復活を期す中山は、昨シーズンの雪辱を果たすべくこれからも戦い続ける覚悟を示した。

「昨シーズンは本当に僕たちにとってきついシーズンでしたが、それ以上にブースターの皆さんはお金を払って、時間も使って見に来てくれていたのは事実です。そこに対してしっかりと恩返しをしていくためにも、一つひとつ勝たなくてはいけません。勝つためにはチームが一つにならなきゃいけないですし、このチームはタレント力だけで戦っているチームでもありません。勝てるチームになるために、一丸となってやっていきたいと思います」