充実したオフを経て「特別指定の時よりも自信が増した」
10月12日、横浜ビー・コルセアーズは千葉ジェッツとのオーバータイムにもつれる激闘を108-106で制した。
この逆転劇で最もインパクトを残したのは横浜BCのルーキー、新井楽人だ。第3クォーターにはこの試合最大となる12点のビハインドを背負ったが、新井が4本中3本の3ポイントシュートを沈めたことで悪い流れを断ち切った。そして、第4クォーターは一進一退の攻防が続く中、新井は内外から10得点を奪い、オーバータイムでもチームトップとなる5得点を挙げて勝利に導いた。
新井は9本中6本の3ポイントシュート成功を含むキャリアハイの33得点を記録。ルーキーではなくとも素晴らしいパフォーマンスで誇ってもいいところだが、新井は自分だけの手柄にしない謙虚な姿勢を見せた。
「自分でクリエイトして取った33点ではないですし、どちらかというと味方が良いバスケットを作ってくれて、最後に僕のほうに回ってきてオープンショットが打てた形が多かったです。チームメートというか、自分たちのバスケットの強みが出た試合だったと思います」
そう周囲への感謝を口にしつつも、勝負どころでの得点には確かな手応えも得ている。10月4日の信州ブレイブウォリアーズ戦では25得点を挙げたがチームは84-89で敗れた。だからこそ新井は「自分の得点でチームを勝たせたい」と強い覚悟を持ってコートに立ち、それを体現してみせた。
「前回のキャリアハイの時はチームが負けてしまっていたので、今回はチームを勝たせたいと強く思っていました。決め切るべきシュートを決められたことは、すごく自信に繋がりました」
『Bリーグドラフト2026』で横浜BCから1巡目指名(全体3位)を受けキャリアをスタートした新井は、昨シーズンは特別指定選手としてプレー。21試合に出場し平均12分47秒のプレータイムで4.3得点とローテーション入りを果たした。プロ入り後、着実にプレーの幅を広げている新井だが、『B.LEAGUE UNITED』の一員として渡豪し、日本代表として『ウィリアム・ジョーンズカップ』にも参戦するなど、充実したオフシーズンを過ごした。そして「特別指定の時よりも自信がすごく増した」と語る通り、積み重ねてきた経験がこのハイパフォーマンスに繋がっている。
ラッシ・トゥオビヘッドコーチが志向する『コレクティブ・バスケットボール』への順応についても、自身の成長を実感しているポイントだ。「今までよりも本当に人が動くバスケットボールなので、素早い状況判断をしなければいけません。その判断力はすごく身についたと感じています。大学時代は自分でクリエイトする場面が多かったですが、本当は合わせて動いて得点を取るほうが得意なんです。自分の好きなバスケットができていると思います」

「ブースターさんも少し自信になったんじゃないか」
ドラフト1巡目で指名されてプロの世界に飛び込んだ新井には、当然ながら高い期待が寄せられるが、その重圧も自分を成長させるエネルギーへと変えている。「ドラフトで呼ばれた選手の期待値はすごく感じていますし、責任や期待に応えたい気持ちは一番大きいです。周りの大学生の選手たちにも『こうなりたい』と思ってもらえたら一番うれしいですね」
オーバータイムに突入したこともありプレータイムは30分弱にまで延びた。特にラスト15分間は約1分半休んだだけだったが「全然いけましたね」と笑顔を見せ、さらに「(佐藤)卓磨さんがすごい強度の高いプレーをしていたネイト・ウィリアムズ選手についてくれていて、そこが自分が楽になった一つの要因だったので。僕がネイト選手についていたら多分無理でした(笑)」と、佐藤のディフェンスの貢献度についても触れた。
横浜BCは2022-23シーズンに初めてチャンピオンシップにも進出したが、直近の3シーズンはいずれも勝率4割程度で上位戦線に絡めていない。そんなチームにとって今回の勝利は大きな価値があり、新井も「このホームアリーナで、しかも延長戦で。僕らもですがブースターさんも少し自信になったんじゃないかなと思います。本当にすごく大きいことです」と胸を張った。
強豪に競り勝つ成功体験がチームを強くする。明日対戦する琉球ゴールデンキングスに勝利できれば、チームが得た自信はより確かなものになる。開幕前に「良い意味で若手らしくないプレーをして勝利に導ける選手になりたい」と語っていた新井の、再びの爆発に期待がかかる。
