
シックスマン賞からキャリアハイ、さらなる飛躍へ
セルティックスが、ペイトン・プリチャードと2年総額4420万ドル(約66億円)の契約延長で合意した。キャリア6年目に自己最高の成績を残した28歳のガードを確保し、チームの将来を見据えた戦力整備を進めた。
2020年のNBAドラフトで全体26位指名を受け、セルティックスでキャリアをスタートさせたプリチャード。ルーキーイヤーには平均19.2分の出場機会を得たものの、2022-23シーズンはマルコム・ブログドンの加入などで出場機会が減少し、平均13.4分のプレータイムで、5.6得点とキャリア最低の数字に留まり、トレード期限を前に移籍を希望していた時期もあった。しかし、チームに残留してからは着実に成長を続け、2024年にはNBA優勝を経験。2024-25シーズンには、平均14.3得点、3.5アシストを記録し、シックスマン・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
「この賞を受賞できたことは本当に光栄だ。自分が正しい道を歩んでいることを示してくれていると思う」
受賞後の喜びを表現したその言葉どおり、プリチャードは個人の評価を高めるだけでなく、チームに必要な役割を担いながら存在感を増していった。2025-26シーズンにはさらなる飛躍を遂げ、平均17.0得点、5.2アシスト、3.9リバウンドと、いずれもキャリアハイの数字を残した。平均出場時間は32.4分に増え、レギュラーシーズン79試合中、50試合で先発を務めた。これは、最初の5シーズンにおける先発出場が合計17試合だったことを考えても、チーム内での役割が大きく変化したことが分かる。
このステップアップには、チームを取り巻く状況も影響した。セルティックスは、このシーズンが始まる前にドリュー・ホリデーをトレイルブレイザーズへトレード。ジェイソン・テイタムもアキレス腱断裂の大ケガから復帰を目指していた時期でシーズンの大半を欠場していた。プリチャードの出場時間が増える中で、持ち味のシュート力に加え、ボール運びやゲームメークでもチームを支えた。
契約延長の合意前、プリチャードは自身の成長についても語っていた。2026年9月のメディア対応では、周囲から選手としての限界を決めつけられてきたことを振り返り、「誰もが人を型にはめようとする。自分も若い頃から、キャリアのどの段階でも『この選手はここまでの選手だ』という枠にはめられてきた。でも、そうした期待を自分は大きく超えてきたと思う」と語っている。
新たな契約は、現在の契約が満了する2027-28シーズンの翌年から適用される。セルティックスは今後2シーズン、現行契約の条件でプリチャードを起用しながら、その先の戦力としても確保したことになる。契約には2029-30シーズンの相互オプションが含まれており、両者が合意した場合に最終年まで契約が継続する仕組みだ。
セルティックスは今オフに、75試合に先発出場し、平均25.3分のプレータイムで、10.2得点、8.4リバウンドを記録したセンターのニーミアス・ケイタや、3年目となった昨シーズンに成長を遂げたジョーダン・ウォルシュとも契約延長をまとめている。2024年に頂点に立ったチームがロスターの変化を経験する中で、成長を続ける選手たちを確保し、継続的に競争力を維持するための土台を整えている。
もちろん、プリチャードの役割が今後も先発に固定されるとは限らない。テイタムの本格的な復帰や、ポール・ジョージ獲得といった補強によって起用法は変わる可能性がある。それでも、先発とベンチのどちらからでも得点とゲームメークを担えるガードの存在は、チームにとって大きな強みとなる。今回の契約延長は、これまでの実績に対する報酬であると同時に、今後もセルティックスの競争力を支える選手としての期待を示すものとなった。