古巣相手の白星「ビーコルにとってすごく自信になる勝利だと思います」

10月12日、横浜ビー・コルセアーズは千葉ジェッツ相手にオーバータイムにもつれる激闘を108-106で制した。

前半を1点リードで終えた横浜BCは第3クォーターに入ると、千葉Jの積極的なアタックにファウルトラブルに陥ってフリースローを多く与え、最大で12点のビハインドを背負ってしまう。だが、新井楽人とアイザイア・リバースによる3ポイントシュート攻勢で反撃し、悪い流れを断ち切ることに成功する。

互角の展開で迎えた第4クォーター、点を取り合う一進一退の息詰まる展開の末に決着がつかずオーバータイムに突入。ここで横浜BCは新井、リバースが再び要所で長距離砲を沈めることで、千葉Jを振り切り価値ある勝利を挙げた。

この試合、横浜BCは新井が3ポイントシュート9本中6本成功を含む33得点と大活躍。さらにゴール下の要マイク・コッツァーが25得点17リバウンド3スティール、リバースが19得点11リバウンド2ブロックを記録した。

そして彼らと共に勝利に大きく貢献したのが佐藤卓磨で、3ポイントシュート4本中2本成功を含む10得点4リバウンド3アシスト1スティール1ブロックを記録。また、197cmのサイズを生かしたタフなディフェンスで、千葉Jの得点源ネイト・ウィリアムズへの密着ディフェンスも光った。

佐藤にとって、この勝利はオーバータイムの激闘を制した1勝という以上の意味がある。それは千葉Jが、かつて3シーズン在籍した愛着ある古巣だからだ。「ジェッツは僕の基礎を作ってくれたチームです。その相手に、自分のスタッツどうこうではなく勝てたことがめちゃくちゃうれしいです。ケガ人がいても富樫(勇樹)さん、(渡邊)雄太さんはいますし、ジェッツはジェッツで本当に強豪です。ビーコルにとってすごく自信になる勝利だと思います」

昨シーズンの佐藤は、2025年4月に負った右膝前十字靭帯損傷の大ケガからシーズン後半の2月になってようやく復帰。この影響もあって出番に恵まれなかったが、今シーズンは開幕2試合目から先発を務め、平均20分以上の出場と主力として活躍を続けている。

新天地の横浜BCで見事な復活を遂げている佐藤は、次のように自身を信頼してくれるチーム、ラッシ・トゥオビヘッドコーチに感謝を語る。「昨シーズン、(ケガから復帰前で)それこそ試合に出ていない時に横浜BCから声がかかりました。そのうれしさで移籍を決めたようなものです。そして加入した今、いつも試合の前に、今日だったらネイト・ウィリアムズ選手のようにマークする相手について『彼はこういう選手』という個別の映像が送られてきます。去年オファーをもらった時から繋がっている話の中で、そういうヘッドコーチの期待に応えたいですし、ビーコルを本当に勝たせたい思いです。僕や並里(成)さんといろいろな経験をしてきた新加入選手と、新井選手のように才能ある選手がたくさんいるので、みんなの力をミックスさせて良いチームを作っていきたいです」

「今日は正直、ターニングポイントになる試合だと思っていました」

この試合の前、横浜BCはアウェーの京都ハンナリーズ戦で、残り25秒3点リードの状況からミスが続き、悔いの残る逆転負けを喫した。それだけに今日の試合でしっかり接戦を勝ち切れたことは大きく、佐藤は「今日は正直、ターニングポイントになる試合だと思っていました。ここで勝つのと負けるのではシーズンの展望も変わってくると思っていました。その大事な試合をチーム全員で我慢し、自分たちのシステムを信じてプレーできたのは大きかったです」と、この一勝の重みを語る。

今シーズンから導入されたオン・ザ・コートフリーによって、日本人選手が出番を得るのはより厳しくなった。特に大きな影響を受けると見られていた大型フォワード・ビッグマンの部類に入る佐藤だが、新ルールをこう捉えている。「日本人選手にとって大きなチャンスでもありピンチでもある。出番がなくなる選手もいれば、ステップアップする選手もいて、ここは本当にふるいにかけられています。その結果として、日本代表の強化に繋がっていけばいいなと思います」

そして、日常的に外国籍とマッチアップすることで得られるメリットを佐藤は語る。「本当に毎試合、今までだったら考えられないくらいエース級の選手をマークしています。身体の当て方など大きく違うのでその分の準備は必要ですけど、相手の技も学べますし、こんなにレベルの高い選手と多くマッチアップすることで、日本人のレベルは上がっていくと、身を以て感じているところです。今までより外国籍選手を相手にできる力が、自分にはあると信じています」

「ビーコルには可能性があり、自分もビーコルでステップアップできる可能性があると移籍を決めました」と語る佐藤だが、その判断が正しかったことを自身のパフォーマンスで示し続けている。そしてチームも、これで4勝3敗と上位にくらいつき、昨シーズンと違う姿を見せている。横浜BCが今の良い流れを維持していくためには、外国籍ウイングを好きにプレーさせず、効果的に長距離砲を決める3&Dとして、佐藤のフル稼働が必要だ。