ジャレット・カルバー

「プルアップシュートを打てるスペースがあった」

10月11日に仙台89ERSは、アウェーで東京サンロッカーズと対戦。終盤までもつれる激闘をジャレット・カルバーの決勝弾によって70-68で競り勝ち、今シーズンの成績を4勝3敗とした。

仙台は24得点を挙げた第1クォーターと打って変わって第2クォーターに入ると、オフェンスに急ブレーキがかかる。オープンシュートをことごとく外すと、9本のオフェンスリバウンドを取りながらも東京SRの身体を張ったディフェンスに苦戦してゴール下でも決めきれない状態が続いた。その結果、このクォーターはフィールドゴール21本中2本成功で、わずか6得点に終わったことで2桁ビハインドを追いかけることとなる。

しかし、仙台は後半に入ると堅いディフェンスが機能して、走る展開からペイントアタックで確実に加点していく。さらに沈黙していた長距離砲にも当たりがくることで、第3クォーターで25-15と盛り返し、2点差まで追い上げる。第4クォーターは互いにシュートを決め切れきれない我慢比べとなるが、仙台は残り3分半から鉄壁ディフェンスで相手を無失点に抑える。すると、同点で迎えた残り41秒にカルバーが1対1から見事なプルアップシュートを決めて勝ち越しに成功。これが決勝点となり、見事な逆転勝利を収めた。

本日のヒーローであるカルバーは32得点10リバウンド2スティール2ブロックと、オフェンスだけでなくディフェンスでも奮闘。決勝弾については「アグレッシブに行って、自分の得意なスポットでシュートを打ち切ることを決めていました」と振り返る。

抜群の勝負強さを披露したカルバーだが、この試合では同時に冷静な判断力と、常に仲間を信頼する姿勢も印象的だった。カルバー程の実績の持ち主であれば、ここ一番の勝負どころで相手の徹底マークを受ける中でタフショットを放っても周囲は納得するモノだ。しかし、彼は何よりもチームファーストを優先する。

ゲームウィナーの前のオフェンスでは、自分のアタックに東京SRのディフェンスが寄ると、フリーになったら船生誠也に迷うことなくパス。船生のシュートは惜しくも外れたが、この決断があったからこそ次のプレーで相手は簡単にヘルプに行きづらくなった。

カルバーは一連のシュートレクションについて次のように語る。「常にチームで良いシュートを打つことを心がけています。今まで誠也は、自分だけでなく、チームをたくさん助けてくれていますし、彼がここ一番でシュートを決められると信頼しているのでパスを出しました。一方、最後のシュートはドライブを仕掛けた時、プルアップシュートを打てるスペースがあったので打ち切る判断をしました」

ジャレット・カルバー

タシュニーHC「お互いを理解して成長していこうとする姿勢は素晴らしい」

仙台にはカルバー以外にも、セルジオ・エル ダーウィッチやジェイク・レイマンと、個で切り崩せる選手たちがいる。だが、勝負どころにおいても全員がチームオフェンスの遂行を最優先とする一体感は仙台の大きな強みだ。ダン・タシュニーヘッドコーチはこう語る。

「エル ダーウィッチ選手、カルバー選手、レイマン選手は優れたプレーメーカーであるだけでなく、協調性を持っています。例えば彼らは誠也が素晴らしいシューターであると知っているので彼にパスを出しますし、我々も彼がシュートを決めてくれると信頼しています。今日、チームとしてのシュートはほとんど決まらず、オフェンス面ではあまり良いプレーができませんでした。それでもチーム一丸となってお互いを理解して成長していこうとする姿勢は素晴らしいです。コーチとして、これこそが築いてきたい文化であり、毎日一緒に仕事をしたいと思うグループです」

これで仙台は3連敗の後の3連勝となった。連敗時との違いについてカルバーに聞くと、「連敗の時も2試合はワンポゼッション、ツーポゼッション差の敗戦で決して悪くはなかったと思います」と前置きして、こう続ける。

「オフェンスのテンポをもう少し速くする、ディフェンスではボールプレッシャーをもっとかけて、最後のリバウンドを取り切る。こういった部分が少しずつ良くなってきたことで、今日は逆にワンポゼッション差で勝つことができました」

仙台はスタメンに船生、エル ダーヴィッチ、カルバー、レイマン、ネイサン・ブースを起用するなど、オン・ザ・コートフリーを積極的に活用しているチームだ。タシュニーヘッドコーチは、「どのチームにも適応するには多少の時間がかかります。10試合くらい戦うまで、オン4の組み合わせがどう機能しているのか評価を下すことはできないと思います。どのラインナップを用いてどの戦術が、このチームにとって最適なのか見極めるにはまだ時間が必要です」と現状を語る。

この試合ではオン・ザ・コートフリーによるオフェンスの破壊力を見ることはできなかったが、全員が194cm以上とビッグラインナップによる、ここ一番でのリバウンド力など守備でのアドバンテージが光った。当然、まだまだ試行錯誤は続いていくが、カルバーを筆頭にアジア特別枠も含めて外国籍選手たちの協調性が優れていることは、オン・ザ・コートフリーの最適解を見つけるにあたり、大きな助けになることは間違いない。