「チームを助けるため、どんなことでも全力でエナジーを注ぐ」
京都ハンナリーズは10月3日、4日と長崎ヴェルカに連勝。特に4日のゲーム2は第1クォーターで21-2と完璧なディフェンスで流れをつかむと、そのまま付け入る隙を与えずに逃げ切った。
これで京都は開幕から3勝1敗と白星が先行している。20勝40敗と低迷した昨シーズンは出だしでつまずいたこともあり、伊佐勉ヘッドコーチは連勝の価値をこのように語る。「開幕節を1勝1敗と去年と同じスタートになって、ここで2つ負けてしまえばチームが自信をなくしてしまう危機感がありました。その意味で、長崎さんがどういう状況であれ、2つ勝てて3勝1敗でスタートできたことにホッとしていますし、自信に繋げていきたいです」
ゲーム2で会場を最も沸かせたのは、今シーズンからアジア特別枠で加入したフィリピン出身のマイケル・フィリップスだ。プロ1年目と若いフィリップスはファウルが多いなど課題も多いが、203cm、100kgの巨体でありながらガード陣と変わらない運動量を誇り、高い身体能力から豪快なダンクやルーズボールへのダイブなど、エナジー満点のプレーでチームに勢いを与えた。
ゲーム2でのフィリップスは19分23秒の出場で12得点6リバウンドを記録。伊佐ヘッドコーチは、「昨日までは確実に勝ち星を重ねたいがあまり、CJ(チャールズ・ジャクソン)、アンジェロ(カロイアロ)、ミーチ(デメトレ・リバース)の3人のローテーションで押していました。ただ、一番エナジーがあるマイキー(フィリップス)をどこかで使いたい気持ちがありました。粗削りですけど、これからも使い続けられたらと思います」と、フィリップスについて語り、次の部分を期待している。
「彼にはまず、エナジーをチームに注入することを求めています。あとはリバウンドです。オフェンスでペイント内の得点は悪くないので、ペリメーター陣がしっかり彼を活用してくれればある程度のスタッツは残すはずです。あとは僕がしっかりと使い続けられるように練習から良いコミュニケーションを取っていきたいです」
フィリップスはこれまでの4試合でベストの活躍を見せた一戦をこう振り返る。「チームを助けるため、どんなことでも全力でエナジーを注ぐことを心がけました。試合前、(澁田)怜音から『マイキー、今日はプレータイムが増えるかもしれない。ディフェンス、リバウンド、フロアに飛び込むようなプレーに集中しよう』と言われました。実際、交代でコートに入るとムーさん(伊佐ヘッドコーチ)が僕を見て『マイキー、もっとエナジー!』と言われたので、『はい!』って答えました」

「特に向上させたいのがバスケットボールIQです」
フィジカルと運動能力で外国籍のインサイド陣に対抗できることを示したフィリップスにとって、これからの課題はいかに賢くプレーできるかだ。本人も「真剣に学んでいます」と言う。
「先日、コーチ陣とディフェンスやボールを持っていない時の動きについて話し合いました。ディフェンスでスペースをしっかりカバーし、あちこち動き回らないようにするのが大切です。特に向上させたいのがバスケットボールIQです。運動能力やスピードといった身体能力だけでプレーするのではなく、プロとしてゲームを理解して試合に臨みたいです」
このコメントが示すように、謙虚で向上心があることもフィリップの魅力の一つだ。次のようにチームファーストへの姿勢と、スタッフ陣への感謝を強調する。
「京都の昨シーズンの試合を見ていましたが、ムーさんやスタッフ陣によるチームの成長ぶりを感じていました。プロ1年目で、このような環境にいられることは本当に素晴らしいことです。練習ではみんなが辛抱強く接してくれ、素晴らしいベテランたちが僕をサポートしてくれています。自分の能力とたくさんある改善点をしっかりと理解し、非現実的な期待をすることなく、日頃の練習からできる限りのことを吸収できるようにベストを尽くしていきます。ムーさんから与えられる役割がチームメートを応援することだとしても、全力でその役割を果たします」
フィリップスは2024年夏に東京で行われた大学の国際大会にデ・ラサール大学の選手として出場した。そこで将来は日本でプレーしたいと語り、日本語でメディアへの取材にも応じていた。日本語はさらに上達し、今回の会見でもまずは日本語で試合の総括を語ったほどだ。2年前の目標を叶え、Bリーグでプレーしていることにフィリップスは、「僕が夢見てきたこと以上の体験ができています。毎朝、目を覚まして練習に向かう途中、自分にとってまだ現実のことと思えない時があります」と笑顔で語った。
そして、Bリーグでプレーできることへの喜びをこう続ける。「日本のファンや文化、チームの取り組み方。例えば練習が終わった後にみんなでモップがけをすることなどいろいろと素晴らしいです。あるインタビューでBリーグのコミッショナーが『NBAに次ぐ世界2位のリーグになりたい』と言ったのを覚えていて、このリーグの一員になりたいと思いました。Bリーグは成長を続けていてファンの盛り上がりもすごくて、自分がまだこの場にいるのが信じられない感じです。だからこそ、この瞬間を満喫したいですし、Bリーグでプレーできる機会を逃したくないです」
少しずつではあるが、フィリップスはBリーグのフィジカル、スピードに適応し始めている。そしてオフコートでは日本での暮らしにしっかりと馴染んでおり、「自宅の近くに行きつけのラーメン屋があり、そこで味噌ラーメンを食べます」と語るほどだ。
ジャクソン、カロイアロの両ビッグマンはBリーグでの実績が申し分なく頼りになるが、ともにベテランで耐久力に一抹の不安はある。2人の負担を軽減できるかどうかは、フィリップスのステップアップにかかっている。
