「ラメロがボールを運び、僕は相手のエースを抑える」

ティンバーウルブズはマイク・コンリーやジョー・イングルスといったベテランを放出し、アンソニー・エドワーズの世代にチームの舵取りを託した。同時に、司令塔としてラメロ・ボールを獲得。ディフェンスを重視してフィジカルに戦うチームに天才肌の司令塔は一見すると相性が悪そうだが、ハマれば恐るべき効果を発揮しそうだ。

このチーム作りに誰よりも興奮しているのがエドワーズだ。シーズン最初の会見で「ウルブズはスーパースターを満足させなければいけなかった。この結果に満足しているか」と質問されたエドワーズは「スーパースターって僕のこと? 普通に考えれば僕か(笑)」と笑った。「満足させなければいけなかったかどうかは分からないけど、大満足だ」と答えた。

ここ数年、エドワーズはコンリーから移譲される形でプレーメークの比重を増やしてきた。生粋の司令塔であるラメロとの共存が懸念点だったが、彼の考え方は明確だ。「僕は生粋のシューティングガードで、コーチからずっと『パスを出せ』と言われてきたけど、正直に言うと自分にポイントガードの素質があるとは思っていなかった。ラメロが来てくれて最高にうれしいよ」

では、決してディフェンスが得意ではないし、意欲的でもないラメロはウルブズのスタイルにフィットするのだろうか? エドワーズに言わせれば、それも問題ではない。「若い頃は何点取ったかを気にしたけど、今はプラスマイナスの数字や、その試合でどれだけディフェンスを頑張れたかを気にしている。最近はボールを運んでプレーメークをして、得点を狙うことも多くてディフェンスに使うべき体力まで削られていた。ラメロという真のポイントガードがいれば、僕がボールを運ぶ必要は全くない」

そう語る彼は本当にうれしそうで、誰がボールを支配するのかで揉める心配はしなくて良さそうだ。「何ポゼッションか連続でコーナーで待機して足を温存し、相手のエースをマークできる。今シーズンは僕自身のパフォーマンスの評価基準が大きく変わる年になるよ」

チームディフェンスについても心配ないとエドワーズは言う。「1対1の守備が強いウイングが僕、ジェイデン(マクダニエルズ)、JK(ジョナサン・クミンガ)と3枚いる。ベンチにもディフェンスが持ち味の選手が揃っているし、ラメロだってオフボールのディフェンスは上手い。僕たち3人がスイッチするディフェンスはめちゃくちゃ強いと思うよ」

昨シーズンのエドワーズは膝の痛みを抱えながら、いろいろな制限を抱えてプレーし続けたものの、出場試合数はキャリア6年で最少の61に留まった。プレーオフでも膝の痛みを抱え、十分なプレーができなかった。「シーズンが終わった後、膝を治すために2カ月休養した。それでも痛みは少し残っていたけど、トレーナー陣と一緒に治療とリハビリをして、今は万全のコンディションだ」と彼は言う。

「だから最高にワクワクしている。毎年同じことを言っている気もするけど、これだけ開幕が待ち遠しいことはない。数カ月バスケができなかったこともあるけど、僕たちは若いチームでダイナミックに走り回り、ディフェンスで相手に牙を剥く。そこからトランジションで走るんだ。攻めはどうなるか? 昔、KAT(カール・アンソニー・タウンズ)がトランジションについて来れなかったのを覚えているかな。今回は僕がそうなる(笑)。ジェイデンやJKが速攻で走ってレイアップにいったりトランジションスリーを打つ。攻めきれなかった時に、僕がモタモタ追い付いて攻める。そうやってコーチには伝えているんだ。今シーズンの僕はチームのおじいさんポジションだよ(笑)」

シーズンが始まってみれば、まさかエドワーズが『おじいさんポジション』のはずがない。誰よりもアグレッシブに、まさしくディフェンスで相手に牙を剥き、トランジションで恐るべき得点力を見せ付けるはずだ。2020年ドラフトの同期、マクダニエルズは今シーズンのエドワーズについて「もう7年目だから、本気でMVPを取ってほしい」とより高いレベルを求めた。

そのことを聞かされたエドワーズは、「個人としては目標も期待もないよ」と苦笑を漏らした。「僕はどんな形であれ勝ちたいだけだ。ジェイデンが僕に『MVP』を求めるなら、僕は彼にオールスターになることを求めるよ。それだけの実力がある選手だからね」