取材・写真=古後登志夫

内海慎吾は「盛り上げるのがうまいなあ」と感心

人気ロックバンド『10-FEET』が中心となって行われるミュージシャン主催型フェスの『京都大作戦』。例年、『音楽×バスケ』のコラボということでフリースタイルバスケのパフォーマンス集団『大阪籠球会』が出演しており、『鞍馬ノ間』と名付けられた屋内ステージではバスケのトーナメント戦『京都大作戦杯2017』が行われた。7日には大阪籠球会とのエキシビジョンマッチに、京都ハンナリーズが登場。先日、東京オリンピックの種目になることが決まり話題の3×3で対決した。

京都から参加したのは内海慎吾、頓宮裕人、片岡大晴そして伊藤達哉。シーズンオフ期間のイベントとあって勝敗よりもエンタテインメント性に特化した内容となったが、選手たちは大いに楽しみ、なおかつ観客を楽しませた。

内海慎吾は「いやあ、完全アウェーでした」と苦笑いを浮かべながらも、ロックフェスでの3×3という体験に刺激を得られた様子。「大阪籠球会を見て、こうやって盛り上げるバスケットボールを作り上げてきたんだな、と感じました。Bリーグができて僕らの試合にもエンタテインメント性が出るようになって、ハーフタイムやタイムアウト間の演出は今までに比べて格段に良くなっています。でももっとレベルアップしないといけないですね。バスケ好きだけじゃなく、バスケ会場の雰囲気が好きな人が来てくれるようにしたいです」

ビッグマンの頓宮裕人は「僕はドリブルとかの技術がないので魅せるバスケはあまりできないんですけど、3×3の雰囲気は楽しかったです」と笑顔で語る。「僕はフェスにも来たことがなくて、どういうものかイメージもできなかったんですけど、体育館の雰囲気もすごく良かったです。フェスも見に行ったんですけど、すごい盛り上がりでしたね!」

佐藤託矢と小島元基がまさかの飛び入り参加

エキシビジョンマッチの途中には、ロックフェスのイベントらしい『乱入者』も現れた。昨シーズン限りで京都を離れた佐藤託矢と小島元基だ。2人はプライベートで会場を訪れていたが、目の前で繰り広げられる熱戦に引き込まれ、気付けばコート上に。飛び入りで参戦することになり、あくまで軽くではあるがプレーすることになった。

小島は「僕は3×3も初めてだったし、観客も音楽もすごくて感動しました」と興奮。「5人制のバスケはまず勝つことが大事なんですけど、3×3はお客さんがライン際ギリギリまでいるので興奮度がすごくて、そんな状況に3×3の選手は慣れていて盛り上げるのも上手なんです。その点については『プロだなあ!』と感じました。3×3の魅せるプレーを間近で見たことで、僕自身もいつもとは違う刺激が得られました」

一方の佐藤は3×3経験者。「すごく楽しい競技なんですが、やっぱりケガが怖いので自分の中で一線を引いてたんです。だけど、今回は飛び入りで参加させてもらいました」と言う。「やっぱりバスケにはヒップホップとかR&Bのイメージがあるんですけど、京都大作戦ってロックフェスで、お客さんがロックに合わせてリズムを取っているのが新鮮だけど自然で良かったです。5人制はバスケを知っている人が見に来る競技だと思います。3×3の選手は知らない人に興味を持ってもらうような見せ方をするので、大変だと思いますがリスペクトする部分でもあります」

小島はアルバルク東京へ、佐藤は横浜ビー・コルセアーズへ。奇せずして『京都大作戦』というロックフェスの場で京都のファンに挨拶する機会を持つことができた。また片岡は京都に来て初めてのプレーを3×3の舞台で迎えることになった。

5人制と3×3は異なる競技だが、どの選手も口にしたように『魅せるバスケ』はBリーグにも参考になるはず。フェスで生まれたケミストリーが、2年目のBリーグに新たな何かをもたらすことを期待したい。