「本当に出だしがすべてだったと思います」
10月4日、京都ハンナリーズは長崎ヴェルカと対戦。第1クォーターでわずか2失点と最高のスタートを切ると、そのまま主導権を握り続けて90-65で快勝した。
試合の出だしから、京都は激しいプレッシャーで長崎に圧力をかけ続け、1対1をしっかり食い止めることでズレを作らせない。長崎にゴール下でのイージーシュートを打たせなかった京都は文句なしのディフェンスによって第1クォーターに21−2と大きく突き放した。その後もインサイドの駒不足に陥っている長崎を相手にリバウンド争いを制することで、第1クォーターの大量リードを最後まで維持して楽々と逃げ切った。
京都を牽引するベテランガードの岸本隆一は「本当に出だしがすべてだったと思います。ここで主導権を取り、終始自分たちのリズムで進められたすごく良いゲームでした」と勝因を語る。
今オフ、岸本はプロ入りから14シーズンにわたって在籍していた地元沖縄の琉球ゴールデンキングスを離れ、京都に電撃加入。Bリーグ史上最大の移籍と大きな注目を浴びながら迎えた開幕戦で、終了間際に劇的な逆転3ポイントシュートを沈め、チームを勝利に導く鮮烈な新天地デビューを飾ったのは記憶に新しい。
シューターかつ、緩急を織り交ぜたドライブで守備を切り崩すハンドラーとして、すでに岸本は京都で中心選手の地位を確立している。自身の現状について「余裕がなくて、毎試合が必死です。良い意味で先のことを見ないですんでいる環境にすごく感謝しています」と語る。
そして、慣れ親しんだ琉球とは何もかも違う環境でのチャレンジに刺激を受けている。「みんなで一つひとつチームを作り上げていく作業はキングスにいた時と同じです。ただ、その過程は違っていて、そこをすごく楽しめています。元々、最初からうまくいくとは思っていないので、みんなとコミュニケーションを取りながら改善しているところで、今までと違う経験をさせてもらっていることはありがたいです」

「毎試合、ひたむきさを必ず持って戦いたいです」
京都のロスターの中で一番の実績を誇る岸本だが「一番後ろから頑張っていくつもりで入りました。その姿勢は基本的に変わらないです」と、謙虚な姿勢を崩さない。ただ、同時に「試合によってはある一定の責任を負いたいと思っています」と語る。
そして何度も終盤にチームを勝利にもたらす劇的弾を決めていた岸本は、クラッチシューターとしての矜持を続ける。
「一つのプレーが勝敗に大きな影響を与えかねない場面、みんなが立候補をあまりしたくないような場面では自ら先頭に立っていきたいです。苦しい場面で、みんなが繋いだ一本を決めることの重要性は昔から意識していましたし、そういう場面こそが自分の仕事場だと思っています。もちろんバスケットボールはチームスポーツなので、しっかりと状況判断をして他の選手に任せた方が良い時もあって、バランスを見ていきます。ただ、(ここ一番でのシュートを)任せてもらえる以上、しっかりと期待に応えられる準備をこれからもしていきます」
このように岸本は勝負の明暗が分かれる場面で責任を背負う覚悟を持っているが、決して独りよがりにならず、自分だけでなくチームが勝負強くなることが理想と強調する。「どんどん責任を負っていく選手を増やしていきたいです。最終的にはみんなで、責任を全うしていく状況になるのが良いと思います」
これで京都は開幕から3勝1敗と白星が先行。故障者が続出したこともあり、序盤から大きく出遅れた昨シーズンの二の舞を避けられそうなのはまずは大きな前進だ。もちろんこれからも気の抜けない厳しい戦いが続くが、Bリーグでの勝つ術を熟知する岸本に、ここから京都がステップアップするために必要なことを聞くと、「僕もまだまだ加入して日が浅く、汲み取れていない部分がほとんどだと思います。それでも強いて言うなら、やっぱりひたむきさだと思います」と答えた。
「試合が終わった後、具体的なプレーについてはいろいろと反省があり、課題が出てきます。大切な姿勢という意味では、ひたむきさです。特にBプレミアになって、どこが勝っても負けてもおかしくない状況で、一つの隙から自分たちの望まない結果に繋がってしまうこともあると思います。だからこそ毎試合、ひたむきさを必ず持って戦いたいです」
これまでの発言が物語るように、岸本は京都に一つでも多くの勝利を届けるため、自分の負うべき責任について真摯に向き合い、ひたむきなプレーを続けている。彼のマインドセットが、チームにしっかりと浸透した時、京都は今より確実にタフで粘り強いチームになるはずだ。
