富樫勇樹

「チームとして戦えた時間帯はありました」

10月2日、千葉ジェッツはホーム開幕戦でアルバルク東京と対戦。主力に複数の故障者を抱える中、驚異的な粘りで再々々延長となるクアドラプルオーバータイムまで食い下がったが、131-138で惜しくも敗れた。

千葉Jは今週に入ってマット・コステロがインジュアリーリスト入りと、インサイドが苦しい台所事情。そんな中、フルメンバーのA東京は外国籍と帰化枠の4名を積極的に同時起用した。高さのアドバンテージを前面に押し出す相手に徐々にペースを握られ、第4クォーター残り40秒で5点ビハインドと千葉Jは追い込まれたが、ここで相手のミスにつけこみ、土壇場で追いついた。そしてオーバータイムも、48得点と大暴れのネイト・ウィリアムズを軸に食い下がったが、最後の最後に力尽きてしまった。

千葉Jの富樫勇樹は20得点7アシストと奮闘。特に第4クォーターで5得点、オーバータイムの20分で10得点と持ち前の勝負強さを発揮。自身より41cm高いA東京のラクラン・オルブリッチとの1対1で外角シュートを射抜いたり、ゴール下への鋭いドライブからレイアップを沈めて会場を沸かせた。

富樫はこのように試合を振り返る。「ホーム開幕戦でケガ人が多い中、ヘッドコーチから『いろいろな作戦はあるけど、まずは戦う姿を見せよう。それができて次に繋がっていく』という話しがありました。そういう意味では、何分かはわからないですが、チームとして戦えた時間帯はありました」

「(クアドラプルは)多分、初めてです。(2020年12月20日)に富山(グラウジーズ)相手にダブルオーバータイムはありますけど、4回は記憶にないです。Bプレミアになって明日試合がないスケジュールにはお互いちょっとは助けられていると思いますが、次の試合に勝てるように頑張りたいです」

冒頭で紹介したように、昨シーズンにアドリアン・コヴァーチ新ヘッドコーチと一緒にスペインリーグの強豪バレンシアに在籍したコステロが離脱し、さらにブランドン・ランドルフもインジュアリーリスト入りして、開幕直前にルーク・メイを緊急補強と、現在のチームは厳しい状況に置かれている。

富樫勇樹

「痛みがなく、制限せずにプレーできることが久しぶり」

その中でも、驚異的な粘りでBリーグの歴史に残る激闘を演じており、富樫も「チームとしていろいろな選手がステップアップするチャンスで、シーズン終盤のことを考えれば良いことかなとも思います」と収穫もあった。だがそれ以上に、勝てるチャンスをモノにできなかった悔しさのほうが大きい。まだ序盤だが、勝利にこだわる理由を富樫はこう語る。

「昨シーズンの三遠(ネオフェニックス)さんみたいにケガ人が多く出た前半に苦戦した後、後半戦で素晴らしい成績を残してもプレーオフに届かないないことはあります。だからこそ、今日みたいな試合は勝ちたかったです」

いろいろなマイナス要素もあり、富樫は「練習も含めてチームとしてやりたい事がなかなかできていない状態です。これから試合と練習を通して、しっかりと良いチームにならないといけないです」と現在の成熟度について語る。また、自身の起用法についてもアジャストする必要があると続けた。

「自分が慣れないといけない部分はあります。前半に3分ちょっと出て交代となった時は、ちょっとリズムが取りづらかったです。この辺りはしっかり会話をして、まだ3試合を終えたばかりなのでコーチが何をしたいのかコミュニケーションを取りながらやっていきたいです」

このように課題を語る富樫だが、自身のコンディションについては確かな手応えを得ている。過去1シーズン半にわたって苦しめられたひざの痛みはなく、プレーできていると言う。「不運もありますけど、ケガも含めてその選手の実力だと思っているので、この1年半について言い訳はしたくないです。ただ、やっぱり痛みがなく、制限せずにプレーできることが久しぶりです。自分の身体の状態について考えず、思うままにプレーできることで良いプレーに繋がると思います」

実際、開幕戦でいきなり25得点3アシストの大暴れを見せるなど、ここまで富樫らしいキレ味鋭い動きを見せている。コステロ、ランドルフはすぐに復帰できないため、今の千葉Jは耐える時期だ。その中でも勝ち星を積み重ねて上位戦線に食らいついていくには、富樫の爆発力が欠かせない。