ミッチェル・ロビンソン

指揮官マズーラは「クソ野郎」から「もう親友」に

ニックスのシーズン最初の会見では、多くの選手が優勝した昨シーズンから意識を切り替え、フレッシュなスタートを強調したが、ミッチェル・ロビンソンが退団したことを「寂しい」と語った。ジェイレン・ブランソンは「ミッチ(ロビンソン)は大切な仲間だから、いなくなるのは辛い。でも、彼が新しい機会を得て、素晴らしい契約を得たことを祝福したい」と語っている。

ニックス一筋で8シーズンを過ごしたロビンソンは、セルティックスへと移籍した。ブラッド・スティーブンス球団社長は「バスケの歴史において、デニス・ロッドマンをパーセンテージでわずかに上回る最高のオフェンスリバウンダーなんだ」と、彼の持ち味であるペイントエリアの支配力を称賛。ヘッドコーチのジョー・マズーラはオフにナッシュビルまで足を運び、ロビンソンに会った。「このリーグで最も重要なポジションはセンターだ。ミッチ、ニーミ(ニーミアス・ケイタ)、ルカ(ガルザ)の3人がチームに成功をもたらすと思っている」と指揮官は言う。

歓迎ムードの中、ロビンソンは上機嫌でキャリア第2章をスタートさせた。「僕の家までコーチが来てくれたのは驚いたし、うれしかった。これまでスタッフが様子を見に来ることはあったけど、ヘッドコーチが来ることはなかった。僕をただの選手だけじゃなく、一人の人間として見ていることの何よりの証明だよね。彼は僕だけじゃなく10人ぐらいの選手を訪ねて回っていた。裏表がなくて、見たままの人物なのが分かったよ。最高の関係を築けると思う」

そう語るロビンソンだが、これまではマズーラが嫌いだったと冗談混じりで打ち明ける。「試合中ずっとファウルゲームを仕掛けてくるから(笑)。『ファウルばかりしてすまない。でも君をコートから追い出さなきゃいけなかった』と言うから、『僕だってバスケがしたかった』と言い返したよ。実際、2年前のプレーオフではセルティックスが20点リードしている状況で僕をハックしてきた。あの時は『なんだこのクソ野郎』と思ったものさ(笑)。でも、今は親友になろうとしている。いや、もう親友だね(笑)」

ロビンソンは極端なプレーヤーだ。決して器用ではなく、フリースロー成功率がキャリアを通して50.8%しかないためハック戦術の餌食となるが、恵まれた体格を生かしたリバウンドでチームを支える泥臭い仕事に徹する。昨シーズンのリバウンドは8.8だが、ティップで味方に繋ぐ場面もかなり多いため、実質的な数字は10を大きく上回るはずだ。ケガの多い選手だったが、昨シーズンは60試合に出場。これは偶然ではなく、ニックスのスタッフを含めてコンディション管理を改善させた結果だ。

「僕の人生で最高の夏になった。ずっと追い求めていた優勝を成し遂げ、別の場所で新たなスタートを切る。気持ちを切り替えて新しい環境に飛び込む。ニックスでの1年目は17勝しかできなかった。そこから勝ち星を伸ばし、ついに優勝をつかみ取った。仲間の一人ひとりがどのように努力し、成長していったかを間近で見られたのは素晴らしかった」

28歳になったが、新しい環境で新たなプレースタイルを開拓できると彼は言う。「ここに来てワークアウトでリングから少し離れた位置でプレーするメニューを与えられている。『なるほど、これは新しい何かができそうだな』と思ったよ。そうやっていろんなシュートの練習に取り組んできた。セルティックスの選手育成はすごいからね。何年リーグにいたとしても、まだまだ上達できると思う」

リバウンド以外にチームに貢献する方法はスクリーンだ。彼の分厚い身体を使うことで、ジェイソン・テイタムはマークを引き剥がすことができる。「スクリーンの技術は何年も磨いてきたから、テイタムを始め多くの選手をフリーにできると思う。以前はスクリーンをセットしたところでオフェンスファウルばかり取られていたけど、『あの頃は不格好だったな』と思えるぐらい上達した(笑)。このチームでみんなの助けになれると信じているし、どう噛み合うかを楽しみにしているよ」

ケガの不安は今も残るため、1人でフル稼働させるのには懸念があるが、セルティックスには6年目を迎えるケイタが急成長を見せており、2人を交互にコートに送り出すことになりそうだ。カール・アンソニー・タウンズと組んだ昨シーズン同様、ロビンソンは与えられた出番にきっちり仕事をこなし、チームに貢献するはずだ。