アイデンティティ、カルチャーを築くシーズンに
4年連続でプレーオフ進出を逃し、昨シーズンも31勝51敗に終わったブルズ。今夏、球団運営トップにブライソン・グラハム、ヘッドコーチにティアゴ・スプリッターを迎え、新体制で再建に着手した。
シーズン始動の会見でグラハムは「僕たちは1階にいて、この組織が今後どうあるべきかという土台を築いている段階だ」と、これから時間をかけて再建をする姿勢を打ち出しつつも、「再建という言葉は使うが、楽しくないという意味ではない」と、メディアやファンの期待を煽った。
「シカゴに再びタイトルをもたらすために、このチームがどんな姿になり、何を目指すのかを理解していく過程はとても楽しいものになるはずだ。私は最初から『競争のための基準』をこのチームに打ち立てる。結果が追い付いてこなくても構わない。今は楽しみ、ワクワクしながら土台を作りたい」
スプリッターも「若手が多い分、我々は我慢強くならなければいけない。成長痛を味わうのも彼らの仕事の一部だ」と言うが、緩みを許容するつもりはない。「過去の再建においては、若手をコートに送り出して好き勝手にプレーさせる手法もあったが、私はそれが正しいとは思わない。競争力を保ちつつ指導するんだ。1回のターンオーバーでベンチに下げたりはしないが、ミスを減らす指導をしているのに4回連続で同じミスをしたら、横に座らせて話をする必要がある。正しいプレーができなければ出場時間が減ることもある。ベンチに座って学ぶことも育成だ。それらを考慮しながら、試合ごとに適切な判断を下していく」
スプリッターにとって『競争のための基準』は明確だ。「カルチャー、習慣、アイデンティティは抽象的に聞こえるだろうが、日々の練習で小さく分解して実行されるものだ。すべてのドリルに対する集中力、何事においても高い基準を設定すること。そうした毎日の習慣が選手を変え、チームを変えていく。その変化を勝利へと繋げていきたい。それには時間と労力が必要だが、やり遂げてみせるよ」
スプリッターが若い選手の手綱を取って『競争のための基準』を教え込む間、グラハムはシーズン中も補強をし続けることになる。ニック・クラクストンでリム周りを強化し、ノーマン・パウエルとバディ・ヒールドのベテランの経験を加えたが、チームは完成形ではない。将来の指名権や若手を手放してはいないし、潤沢なキャップスペースとミッドレベル例外も残している。「トレード市場でどんな機会がやって来るかは我々にはコントロールできないので、柔軟に対応していく」とグラハムは言う。
それと同時にグラハムは契約最終年を迎えるベテランたちに「トレード候補として腫れ物扱いする選手は一人もいない」というメッセージを送った。「ここにいる全員が、我々が築くものの一部だ。シーズンが進み、物事が明確になるにつれて違う方向に進む者も出てくるだろうが、今オフの我々の方針は、将来性を犠牲にせず、選択肢と柔軟性を保持し続けることで、ベテランの力も借りてチームを築いていきたいと考えている」
今シーズンの『成功の定義』について問われたグラハムは、「競争のための基準ができればアイデンティティが生まれ、最終的にカルチャーが形成される。それが内部的に達成できれば、今年は非常に大成功の年になる」と言い、勝敗だけでは測らない物差しを示した。もっとも、自身が勝負への執着が強い性格であることも認め、「短期的な利益のために将来を犠牲にしないと心に決めている」と、近道をしたくなる衝動との戦いが常にあることも語っている。
長らく結果を残せておらず、オフの補強も目立たなかったブルズの評価は低く、実際に戦力面ではリーグ最下位クラスと言わざるを得ない。それでも新体制となったブルズには、将来的にタイトルを勝ち取るという挑戦の第一歩を踏み出す高揚感がある。競争のための基準、アイデンティティ、カルチャーを築くシーズンがスタートした。
Our season prep has officially begun.
See you tomorrow for Day 2.@HammerStrength | #SeeRed pic.twitter.com/nvDxdn2jpM
— Chicago Bulls (@chicagobulls) September 30, 2026
