
「第1シードを取り、トップの座を目指して戦いたい」
スパーズは若きエース、ビクター・ウェンバニャマとともに急成長を遂げつつ、NBAファイナル進出を果たした。最後はニックスの勝負強さに屈したものの、その悔しさがモチベーションになり、自分たちのポテンシャルにはますます自信を持って、新たなシーズンに乗り出そうとしている。
「しばらくは悔しさが胸に突き刺さっていたよ。今だって頭のどこかには残っているけど、残りのキャリアや人生でずっと悔しさに苛まれるわけじゃない。しばらく休んで気持ちを切り替え、身体を万全の状態に戻してトレーニングを始めた」とディアロン・フォックスは言う。
ウェンバニャマも「なかなか寝付けない夜があったり、不意に辛い感情が胸をかすめたりすることはあった」と振り返る。「でも、どこかの時点で『この過程を経験することが必要なんだ。受け止めよう』と思うことができた。だから今は、ファイナルで負けること以上のモチベーションはない、という気分だ」
チームを牽引する2人に限らず、誰もがその思いを抱いている。だからこそ、長い長いシーズンを戦った後、わずかなオフを取っただけで選手たちは集まった。最初はヒューストンにあるフォックスの自宅で、そしてウェンバニャマが待つフランスで。サンアントニオに戻るのも早かった。
「サマーリーグに出場しない選手たちは、何週間かの休養を挟んでトレーニングを再開した。その時点で集まって一緒にやることにしたんだ。スケジュールを調整するのはちょっと面倒だったけど、僕たちは一緒に過ごすのが好きなんだ」とフォックスはチームの絆を強調し、こう続ける。
「特別な戦術の練習やセットプレーの確認をするわけじゃない。ただ一緒にトレーニングの時間を共有することが、チームにとって大きな力になると思う。僕たちの多くは1カ月ぐらい前からサンアントニオに戻って来て、時間を共有しているよ」
ウェンバニャマは「あの頃はまだいろんな感情と向き合わなければいけなくて、一人で対処するよりチームのみんなと一緒に乗り越えるほうがずっと良いと思った。特にパリでの時間は、僕個人にとっても感情を揺さぶられる経験だった」と振り返った。
2シーズン前はウェンバニャマが血栓症でシーズン後半を欠場し、チームは34勝でプレーオフ進出を逃している。昨シーズンのスタート時点では「プレーインを経由せずプレーオフ進出」がチームの目標だったが、この1年でスパーズを取り巻く環境は様変わりした。当然、目標も高くなる。
「チームの内部で共有する目標がいくつかあるけど、それは僕たちだけのことにしておく」とウェンバニャマは言う。「でも、誰にとっても明らかな目標がある。昨シーズンは西カンファレンスを制した。当然、それ以下で満足はしない。第1シードを取り、トップの座を目指して戦いたい」
優勝候補として周囲から期待され、相手チームから警戒される存在へとスパーズは飛躍した。フォックスは言う。「間違いなくこれまでとは違うね。昨シーズンは試合をこなすごとに相手の警戒度が上がるのを感じたけど、今シーズンは最初から相手は全力で向かってくる」
スパーズにとっては『望むところ』だ。ウェンバニャマは「最高だよね」と笑った。「まさに僕たちのいるべき場所だよ。昨シーズンのプレーオフで勝ち上がっていく最中にそう感じたし、今はそれがすごく自然なことに感じる。今の僕たちは素晴らしい状況にいる。期待感に満ちていて野心的だ。これから100試合以上を戦うことになると思うけど、準備は万端さ」