日本代表キャプテンとして完全復活の吉田亜沙美「去年のチームを超えるチームに」

2017/07/10
日本代表
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文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

「ガンガン攻めて自分をアピールしてもらいたい」

ウイングアリーナ刈谷で行われたオランダとの国際強化試合。日本代表は格下のオランダに何もさせない圧倒ぶりで、連日ともに快勝した。7月23日の開幕が迫るアジアカップに向けて、結果だけでなく内容も問われる試合、結果も内容も満点に近い回答を出したかに見えるが、キャプテンの吉田亜沙美は「オフェンスでもディフェンスでもミスがあって完璧にはできていない」と言い、2戦目に至っては「悪くないけどスッキリしない」という言葉で表現した。

チームは大幅に若返った。リオ五輪のスターター5人のうち、WNBAシアトルストームでプレーする渡嘉敷来夢が招集されず、栗原三佳と本川紗奈生はケガで外れ、今回のアジアカップに参戦するのは吉田と大﨑佑圭のみ。招集12選手の約半数がリオには参加していない若手だ。

チームの若返りについて吉田はこう語る。「若い選手はこれからすごく良い経験ができると思います。アジアカップに向けてという意味では、初めての選手だからこそ武器になることがあります。私のプレーは相手に伝わっていますが、初めての選手はデータがないのでプラスになる。ガンガン攻めて自分をアピールしてもらいたいし、若くして世界で戦う経験を積むことができるのはうらやましいです」

「オリンピックでメダルを取るために」という意識

渡嘉敷の招集が見送られたのは、吉田にとってもサプライズだったに違いないが、そこに動揺はない。「仕方ないというか、受け入れるしかないので」と吉田は淡々と語る。「トムがこの12人を選んだからには、このメンバーがアジアカップ優勝に必要なんだと思っています」

アジアを連覇している日本にとって、目標は目標以外にない。しかし、今回からオーストラリアがアジアに参戦する。昨年、リオ五輪を前にした国際親善試合で招き、リオ本大会でも戦い、『世界との差』を痛感させられた相手だ。

アジア3連覇の前に立ちはだかる難敵であることは間違いないのだが、それでも吉田はオーストラリアのアジアカップ参戦を「楽しみなんです」とポジティブに受け入れている。「ワールドカップにしろオリンピックにしろ必ず当たる相手。その相手とアジアカップで対戦できるのは貴重な経験になります。オーストラリアや中国といった高さのある相手に、一番背の低い私たちがどう戦うのか……」

そう話す吉田の表情には笑みが浮かんでいる。「やっぱりそれは足を使って走るバスケットになると思います。トムがよく言うんですけど、相手がどこであろうと、自分たちのバスケットをすることが大事。私としては、オーストラリアと戦うのは単純に楽しみだし、チームがレベルアップするためにとても大事な相手だと思っています。オーストラリアに追い付き、追い越す。オリンピックでメダルを取るにはそれが絶対条件になってくるので、それを経験できるのは日本にとってすごく大事です」

「チャンスとチャレンジで」去年のチームを超えろ

チームとしてのコンセプトはリオ五輪の時からブレがない。ただヘッドコーチは内部昇格とは言え変わったし、リオ五輪のチームと全く同じというわけではない。「一目で分かるのは若くなったことですね。経験ある選手が少なくなった分、新しく入ったメンバーがいるので、その差をどう埋めていくか。私みたいなベテランや中堅がどう引っ張っていくかにかかっています」

「トムはすごく厳しいヘッドコーチなので、みんなそれについてくるのに必死です。本当に毎日トムと戦ってるっていう感じです(笑)。『より走れるチームになった』って言いたいですけど、まだまだ完成されてないので、アジアカップに向けた残りの時間でどれだけ徹底して練習に取り組んで、トムの思い描いているチームにどれだけ近づけるかというのがキーポイントになります。去年のチームを超えるぐらいのチームにならないといけない。そこの部分でキャプテンとして選手全員を引っ張っていければと思っています」

エースの渡嘉敷、バックコート・コンビを組んだ本川、爽快シュートを決め続けた栗原。リオ五輪を戦った先発の3人が抜けたが、吉田が『今のチーム』だけに集中している。「誰がいないとか誰が抜けたとか関係なく、4月からみんな必死にトムの練習をひたすらやって、海外遠征も行きました。みんなが頑張ってるのを私は近くで見てきました。やっているバスケは一緒だし、若い選手たちにはチャンスです。さっき言ったようにデータがない分、その選手たちにはチャンスがあります」

「去年のチームを超えるぐらいのチームにならないといけない」と吉田は言う。そのためにはどうすればいいのか、と問うと「何事もチャンスとチャレンジです」と吉田は自信ありげな笑みを見せた。

「このチームのメンバーは誰がスタートで出てもおかしくないと思っています。このチームがチャンスとチャレンジのチームになれろうよう、スタッフとともに最高のチームを作ってアジアチャンピオンになりたいです」

そう語る吉田に迷いはない。アジア3連覇に向け、落ち着いてはいるが闘志を燃やす吉田が、今回のアジアカップでもチームを力強く牽引してくれるはずだ。