出発点だったブルズに戻り、アシスタントコーチに就任

タージ・ギブソンが17年間の現役生活に終止符を打ち、現役引退を発表した。ギブソンはSNSで「このゲームに全力を尽くしたと正直に言える。すべての瞬間、すべてのチームメート、すべてのコーチ、そして私を信じてくれたすべての人に感謝している」と謝意をつづった。

2009年のNBAドラフトでブルズから1巡目26位で指名されたギブソンは、キャリア通算で平均8.3得点、5.7リバウンド、1.0ブロックという数字だけを見れば、スター選手とは言い難い。しかし、彼はスタッツに表れない部分で特別な選手だった。

ブルズ時代のヘッドコーチ、トム・シボドーはギブソンを「チーム最高のローポストディフェンダー」と評し、激しく賢く戦うスタイルを高く評価した。ド派手な活躍を見せるエースのデリック・ローズの陰で目立たない存在ではあったが、シボドー体制のブルズが体現した泥臭いディフェンスは、他の誰よりもギブソンによって支えられていたと言える。

2014年のプレーオフ、ウィザーズ戦でネネとジミー・バトラーが衝突した際、真っ先に間に入ってバトラーを引き離したのもギブソンだった。実力だけでなく、チームメートを守る本能を持った選手として仲間からリスペクトされる存在でもあった。

シボドーとの縁は一度きりでは終わらなかった。ブルズでの師弟関係を経て、ギブソンは2017年にシボドー体制のティンバーウルブズへ移籍し、さらに2020年にはニックスでも再びシボドーの下でプレーした。一人のコーチから3球団に渡って起用された事実は、シボドーがどれほどギブソンという人間そのものを信頼していたかを物語っている。

グリズリーズを離れる際にはジェフ・ティーグが「彼は最高のチームメートだ」と別れを惜しみ、ホーネッツの指揮官チャールズ・リーも「彼のプロフェッショナリズムはチームに規律をもたらした。選手たちは彼が成し遂げてきたことに大きな敬意を持っている」と語るなど、ギブソンはジャーニーマンとなったキャリア晩年でも『ユニフォームを着たアシスタントコーチ』として頼られる存在だった。

現役を終えたギブソンは、自分の原点であるブルズに戻り、ティアゴ・スプリッターが率いる新体制のスタッフにアシスタントコーチとして加わる。