「萩原さんを中心に考えていくのがあるべき姿」

日本バスケットボール協会(JBA)の島田慎二会長は、『FIBA女子ワールドカップ2026』の3位決定戦が行われたハーフタイムに、2030年大会の開催国代表として引き継ぎ式に出席した。

4年後の東京大会に向け、島田会長は「ついにこの日を迎え、我々にバトンが渡りました。今回、すごく素晴らしい大会となっていると思いますが、FIBAからはこれ以上の大会にしてほしいと軽めのプレッシャーもいただいております。興行面だけでなく、チームの強化面でもしっかり準備して臨みたいです」と意気込みを語る。

チーム強化でいうと今大会の日本代表は、グループフェーズ初戦でマリ戦に勝利するも、続くドイツ戦、スペイン戦と大差で連敗。同率だったマリとの直接対決の結果で、なんとかベスト8決定戦に進んだが、ハンガリー相手に再びの大敗を喫して大会終了となった。目標とするベスト8に届かず、内容でも世界上位と大きな差を感じた今大会の課題をしっかりと洗い出して改善していくことは急務となっており、このまま立て直しが出来ないようだと、ロサンゼルスオリンピック出場も危ういのが今の女子日本代表の現在地だ。

島田会長は、「(コーリー・ゲインズヘッドコーチの)契約事項は今、この場で申し上げられないです。大事なことは今大会の評価云々の前に、長期的に結果を出していくためのビションを作り、それに向けてやるべきことを明確にしていくこと。Wリーグとの連携を深めたり、いろいろなことを多角的に強化を進めていくべきではないかという話をしています。これからどういう方針で現場が進むのかは、現時点では白紙です」と、今後について語る。

そして、萩原美樹子強化副委員長を軸に、進むべき道を決めることになると島田会長は続ける。「立て付けとしては、伊藤(拓摩)強化委員長が最終的な決断を下します。ただ、萩原副委員長が、女子強化の責任者です。全体として伊藤さんがトップでありつつも、女子の専門家ではないので、萩原さんを中心に考えていくのがあるべき姿ではないかと思っています」

「あらゆる選択肢を排除せずに思い切ったことをやっていきたい」

興行面でいうと、今大会は開催国のドイツ戦では1万人を超える観客が集まった。また、フランス、スペイン、ベルギーなど欧州のファンも多く詰めかけ、特に決勝トーナメントは盛況が続いていた。だが、日本は大半の出場国のファンにとって遠く離れている地理的なマイナス面がある。その中で、FIBAの望む今大会以上の盛り上がりを見せるためには、日本国内でいかにファンを増やせるかにかかっている。

島田会長は、「代表が結果を出すことは必要ですが、代表に頼っているだけでは続かないと思います。代表は代表で頑張り、その上でWリーグをいかに盛り上げるかはキーになります」と、女子バスケ界全体の人気拡大が、4年後の賑わいに必要と語る。

そのために男子のファンベースとの接点も増やしていきたいと考えている。「ここからの4年間でBリーグとの連携や共催を増やしながらお互いのファンの行き来を増やす。Bリーグのファンの方が相対的に人数も多いので、そこを取り込んでBリーグだけでなく、Wリーグを見に行ってみようと思ってもらえる取り組みをするのは必須だと思います。全くの更地のところから新しいファンを作っていくことも必要ですが、ウインターカップなども含め、まずは今のバスケットボール界を応援してくれているファンベースを女子に向けさせることが重要なアプローチだと思います。まずは、そこを4年間やっていく、ただ4年で終わりではないので、Wリーグも踏まえて発展的な成長の仕組みを動かしていきたいです」

「4年で終わりでない」と島田会長が強調するように、JBAとしては『FIBA女子ワールドカップ2030』開催を大きなきっかけに、女子バスケ界が長期にわたって発展していける強固な土台を作っていくことを目指している。

「2030年大会を招致した一番のポイントは、ここを一つの旗印に具体的なアクションを起こすことで、未来に向けて女子バスケットボール界を成長させていくためです。興行面、強化面とあらゆる選択肢を排除せずに思い切ったことをやっていきたいです」

最後に今大会は、多くの観客が詰めかけただけでなく、その多くが熱烈に応援するファンだったことが会場の熱さを生んでいた。島田会長も「この熱量はすごいです。やっぱり、ここまで行かないといけない。そのためには人をかき集めて『ただ、います』ではダメです。簡単ではないですけど、熱をもった人たちが会場に来ないといけないです」と感銘を受けていた。

4年後のワールドカップ東京大会を盛り上がったイベントにするため、これからやるべきことは山積みだ。ただ、その中でもまず早急に取り組まないといけないのは、女子代表の立て直しとなる。強化委員会がどんな評価を下すのは注目だ。